コロナ対策・その5・日々の国会質問報告
こんにちは。皆様から届く様々な声をカタチにするため、日々国会質問を重ねています。
例えば、
①融資額(特に運転資金)の拡大
②雇用調整助成金の対象拡大
③日本に帰国出来なくなった在留配偶者の資格期限切れへの対応など
詳しくは動画にて、
「4/10国交(一般質疑)」
https://youtu.be/_KRXqR28KKc
「4/14国交(地域公共交通活性化法案審議)」
https://youtu.be/JPqWniyhhH4
この難局を乗り越えるため、日々全力で頑張ります!!
4月10日
伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。
早速質問に入らせていただきます。
まず初めに、この新型コロナウイルス対策にかかわっていただいている全ての関係者の皆様に心から敬意を表し、引き続き取組を進めていただけますことをお願い申し上げます。
この国土交通行政にかかわる業界でも大変厳しい経営環境が続いておりまして、まず初めにその資金繰りの支援について、これは財務省の方にお伺いをしたいと思います。
この資金繰りの相談を受ける政府系の金融機関、日本政策金融公庫などにも大変多くの相談が来ておりまして、人手不足も深刻な状態になっていると聞いております。少し前の報道では、退職者を支店ごとに採用いたしまして改めて人手不足の解消を図る、全国で約五十人集めたという話も報道で拝見をいたしました。
我々議員関係の事務所にも個別の相談がたくさん来ているかと思いますけれども、その中で少し気になったことを財務省にお伺いをしたいと思います。
これまで御相談のあった融資案件等を見ておりますと、運転資金、大体二カ月程度を御融資をするというのがどうも相場のような印象を持っております。一方で、総理からも発言がありますとおり、この新型コロナウイルス対策への対応は長期戦になることも覚悟していかなければならないと思っております。そうすると、二カ月分の運転資金融資ではなかなか見通しが立ちづらくなってきているのではないか、こう思います。
時々刻々と状況が変化しておりますので、既に御対応いただいていればいいんですけれども、例えば、二カ月と言わず、六カ月程度はまずは運転資金を融資していった方がいいのではないか、あわせて、決裁までのスピードの向上、こうしたことをぜひ現場にお伝えをいただきたいと思いますけれども、財務省の御答弁をお願いいたします。
神田政府参考人 お答え申し上げます。
伊藤先生御指摘のとおり、特別貸付制度の運用開始に伴いまして、日本政策金融公庫には融資申込みが急増してございます。
既に先月六日と十六日の二度にわたりまして、官民の金融機関に対して、事業者の実情に応じた対応に万全を期していただくよう麻生財務大臣から要請を行っておりまして、また、一昨日には安倍総理からも、官民の金融機関に対して、支援策の積極的な活用、貸付条件の変更に係る迅速かつ柔軟な対応、迅速な融資実行などをお願いいただいてございます。
さらに、日本政策金融公庫では、相談審査要員といたしまして、約五百五十名の応援派遣、約六十名のOB職員の活用、年度末の定期人事異動の五月までの凍結、休日電話相談対応の実施、審査プロセスの簡略化、現場への決裁権限の移譲、民間金融機関との連携強化などなどの取組によりまして、特に、少額の融資につきましては、通常二週間以上かかる融資実行までの期間を、極力一週間以内で決定できるよう審査の迅速化を図ってございます。
また、この新型コロナウイルス感染症特別貸付制度、貸付限度額は、既往債務とは別枠で、小規模事業者は六千万、それから中小企業の事業主は三億円といたしておりますが、実際の平均貸付決定額を見たところ、これまでのところ、小規模事業者では約千三百万円、中小企業の事業主で約八千四百万円と承知してございます。
しかし、この上限金額を超える方がおられれば、ほかの貸付制度との併用、また、今般の緊急経済対策に盛り込まれてございます、地方公共団体の制度融資を活用した民間金融機関による実質無利子無担保の融資もあわせて、しっかりと資金繰り支援を行ってまいりたいと存じます。
伊藤(渉)委員 ありがとうございます。事業者の方も、何とか雇用を維持しながらこの局面を打開しようと努力されておりますので、引き続きよく相談に乗っていただきたいと思います。
財務省への御質問はこれで終わりますので、退室していただいて結構です。
続きまして、法務省にお伺いをしたいと思います。
このコロナの話がぐっとクローズアップされてきたときというのは中国の春節の時期と重なっておりまして、現場で何が起こっているかというと、当然、春節なので、中国から日本にお越しになる方もかなり話題になりましたけれども、日本で日本人の方と結婚して、配偶者在留資格で日本に在留している方が母国に帰っているというケースもかなり、今もあります。これが、在留資格が切れてしまう人が大分出てきているんですね。
この在留資格に関しては、切れる前だと、原則配偶者本人が再申請に行かなければならないんです。今は、配偶者が日本に戻っているのが原則で、日本に戻ってきていれば代理申請をすることもできる、こういうふうに聞いています。
例えば、日本に戻ってくることは可能だけれども、入国拒否対象国になると日本には入国することができないので、仮にこのような状況の中で在留資格が切れてしまった場合は、法務省に確認したところ、コロナウイルスの収束状況を待って検討するというのが、これもタイムラグがあります、もう変わっているかもしれません、最初に聞いたときはそういう答えだったんです。
ちなみに、配偶者の在留資格が切れてしまいますと、配偶者の国民健康保険も失効して、失効した場合は再度申請しなければならない。じゃ、再度申請すればいいじゃないかとそれだけ聞くと思うんですけれども、通常、この在留資格発行というのは二、三カ月かかるんですよ。そんなことやっていられないというのが現場のたくさんの声なんです。
四月一日には米中韓も含めて四十九カ国・地域を入国拒否対象国に加えておりますし、今やっていただきたいのは、現場で、皆さんこの在留資格の問題が更に不安になると思いますので、早急な対応の検討と、こういうふうにしますよと、考え方だけでもいいので、関係者の皆さんに御案内をお願いしたいと思いますが、御答弁お願いします。
丸山政府参考人 お答え申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を踏まえ、出入国在留管理庁におきましては、再入国許可により出国中の方に対する特例的な取扱いを行っております。
一つは、今月三日からでございますが、出国前に既に在留期間更新許可申請等を行っている場合であって新型コロナウイルス感染症の影響により再入国できないときは、本邦の関係者による在留カードの代理受領を認めることとしております。その場合は、四月二日以前に再入国許可を得て出国中の日本人の配偶者等の方は、特段の事情があるとして上陸許可をすることが可能でございます。
もう一点は、委員の御指摘の切れてしまった方でございますが、再入国出国中に在留期限を経過してしまった方で出国前に在留期間更新許可申請等を行っていなかった方については改めて在留資格認定証明書交付申請を行う必要がありますが、その手続に際しては、原則として、改めて立証資料等の提出を求めることなく、申請書と受入れ機関や配偶者などからの理由書のみをもって迅速に審査を行うこととしておりまして、この点についてはホームページで公表させていただいているところでございます。
出入国在留管理庁としましては、引き続き、個々の外国人の置かれた状況に十分配慮しながら柔軟に対応していくとともに、こうした措置については適切に周知を図ってまいります。
以上です。
伊藤(渉)委員 ありがとうございます。まだなかなか、このコロナウイルス対策も、日々、各省庁にいろいろな紙も含めて出していただいているので、現場もついていけなくて、現場の窓口に聞くと今みたいなお答えがいただけないケースも残念ながらあります。なので、引き続き周知徹底にも努力をいただけますことをお願いしておきたいと思います。
法務省への御質問はこれで終わりますので、退室していただいて結構であります。
次に、タクシー事業等における雇用調整助成金のことで御質問をしたいと思います。これは厚生労働省所管ですから、国交省には、国交省でできることでちょっとお願いをしていきたいので質問させてもらいます。
ちょっと事情を説明しますけれども、タクシーの勤務体系は日勤勤務とか隔日勤務とかがありまして、厚生労働省が定める自動車運転者の労働時間等の改善のための基準において、ここでは、例えば日勤に限って話をしますと、拘束時間は労働時間と間の休憩時間を含めて十三時間というのがタクシーは原則になっているんです。それで、最長十六時間まで働いていいよと。状況によっては遠方まで送迎さらには急遽な乗車もありまして、十三時間を超えて最長十六時間になる場合もあって、この三時間が時間外労働という整理になっています。
雇用調整助成金は、経済的理由によって事業所の業務量が減少した状況下において、事業主が労働者を解雇せずに休業等によって雇用を維持した場合に助成を行うものであります。
労働者を休業等させる一方で、出勤日に残業、さらには休日だったにもかかわらず出勤をさせた場合、それが突発的、一時的なものであったとしても、労働者を休業等させずに働かせる必要性が新たに発生したことになるため、助成の対象となる休業等の延べ日数からその残業や休日出勤をさせた分は控除することになっているというのが通常の制度なんですね。なので、出勤日に残業が増加した分、本来休業に当たる日数から残業分が差し引かれてしまうので、助成金額にも影響が出てくるということが課題になっていました。
それは、今回、既に四月一日付からこの残業相殺の停止が特例で認められることになりましたので、実は解消しています。
タクシー事業等は、公共交通機関としての役割を担って、今ニュースでもよく流れるとおり、大変な状況でありますので、この新型コロナウイルスの甚大な影響を受けておりますから、助成率のかさ上げも四月一日から動き出しておりますので、この残業相殺の停止の特例なども含めて、関係諸団体への周知徹底を国交省にはお願いをしておきたいと思います。
ここまでが通告です。ちょっとこの先は通告外で、あわせて要望なので、答弁のあるなしはお任せします。
もう一つは、そうはいっても、本当に車があいているものですから、最終的には車自体を減車したい、このコロナの状況に鑑みてと。だけれども、基本ルールだと勝手に減車できないんですが、国交省に問合せをさせていただくと、コロナの特例減車というものもありますよと。これもやはりまだ知られていないところがありますので、あわせて周知徹底をお願いしたい。これは要望です。
もう二つ言っておきます。
一つは、これはまだ実現できていないんですけれども、現場から上がってくるのは、雇用調整助成金の適用が今四月一日からなんですけれども、これは我々の仕事でももちろんあるんですけれども、計画書の事後届けが認められているのは一月二十四日からなんですね。だから、一月二十四日まで遡及して今回の雇用調整助成金の緩和、拡大を適用できないかということと、これもずっと言っていますけれども、教育訓練給付の支払いの拡張、これは我々政党としても政府にしっかり要望していきますけれども、国交省からも、省庁間協議において等、こうした業界の要望をしっかりお伝えをいただけますことを御要望したいと思いますが、御答弁をお願いいたします。
一見政府参考人 お答え申し上げます。
雇用調整助成金につきましては、厚生労働省のホームページにおきまして、四月一日から、委員御指摘の助成率の拡大、残業相殺の停止が行われることなどを盛り込んだ特例措置の拡充に係る方針が公表されました。私ども国土交通省におきましても、同日タクシー事業者さんにお知らせをしたところでございます。
また、四月七日に発表されました経済対策の際には、経済的な部分、予算的な部分を含めまして、先ほど委員御指摘もいただきました特別減車などを含む非予算的な運用につきましても私どもお知らせをしているところでございますが、まだ十分にお知らせをできていないところもあるというふうに思っておりますので、引き続きお知らせを続けていきたいというふうに思っております。
具体的には、各地方運輸局や全国五十二カ所の運輸支局、ここに設置しました窓口を通じて、相談はいつも受け付けておりますけれども、こちらからもプッシュ型の情報提供を進めていきたいと思っています。
また、今後公表されるさまざまな措置があろうと思いますが、公表され次第、業界団体への周知徹底を図ってまいりたいと思います。
また、特別減車につきましては、制度がなかなか難しいところがございまして、準特定地域という地域では原則増車が認められておりません。したがって、一旦減車しますと増車することができないので減車できないという制度になっているんですが、今回、コロナ対策ということでございまして、これは特別の減車を認めようということにしてございます。これも更に周知をしてまいります。
また、事後届けあるいはさかのぼりにつきましても、私ども、しっかり対応していくように、制度設計の問題だと思いますので、厚生労働省さんともお話をさせていただきたいと思いますし、教育訓練費につきましては、現状千二百円でございます、これは、リーマン・ショックのときは六千円に上げていただいて、事業者の方々は随分活用されたというふうに聞いております。これも引き続き厚生労働省さんにお願いをしてまいりたいと思います。
伊藤(渉)委員 よろしくお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。
4月14日
伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。
毎回申し上げていることですけれども、この緊急事態におきまして、現場で支えてくださっている医療関係者の皆様はもとより、都市機能を麻痺させないために日々運行を続けていただいている公共交通各関係者の皆様にも心から敬意を表して、質問に入っていきたいと思います。
また、この緊急事態を受けまして、国交省も積極的にテレワークを導入するなど、私が思うのは、ぜひ、この危機的状況を乗り越えたときには世の中の景色が少し変化をしている、いい方向に変化をしている、その一つが、一極集中の是正の糸口みたいなことを見つけていく可能性があるのではないか、そんな期待も持ちながら日々業務に取り組んでおるわけですけれども、そのためにも、地方の公共交通の維持のためのこの法案は極めて重要ですので、きょうは各論を中心に、確認の意味で質問させていただきたいと思います。
まず初めに、自動運転技術の進捗についてであります。
今、中村委員の質問にもございましたけれども、特に地方に行きますと、ラストワンマイルをどう支えるのか、極めて重要な課題であります。現在、福井県永平寺町、沖縄県北谷町でそれぞれ実証実験を実施をしていると承知をしておりますし、また、中型自動運転バスの実証実験も準備中というふうに承知をしております。それぞれの取組について、現状と課題、実用化のめどについてお伺いをしたいと思います。
一見政府参考人 お答え申し上げます。
国交省では、二〇二〇年までの限定地域での無人自動運転移動サービスの実現という政府目標の達成に向けまして、二〇一七年度より、経済産業省と連携をしまして、いわゆるレベル4の自動運転でございますが、ラストマイル自動運転の実証実験を五カ所で実施をしております。
御指摘の永平寺町、これは京福電鉄の線路跡を利用した自動運転でございます。これまで一人の遠隔監視操作者が二台の車両を担当するということで実験を行っておりましたが、さらなるコスト低減に向けまして、一人が三台の車を担当するシステムの開発が今後の課題となってございます。
また、沖縄の北谷町では、路上駐車車両を回避するためにドライバーがどうしても手で操作をしなきゃいけないというような問題が発生しております。そういう意味では、さらなる技術開発が課題でございます。
さらに、輸送定員をふやしまして事業採算性を確保する観点から、昨年度、従来よりも大型の国産の自動運転中型バスを開発をしております。本年度は、このバスを利用しまして、兵庫県の三田市なども加えまして五カ所で実証実験を行うこととしております。
課題はありますが、あと一歩までは来ておりますので、今後とも、政府目標の達成に向けまして、さらなる技術開発や実証実験に取り組んでまいる所存です。
伊藤(渉)委員 きょうは地方公共交通活性化法案の審議ですけれども、今国会に提出をされている道路法の方では、自動運転に近い、道路に何らかのマーキングといいますか、電子的なマーキングを施すことによって、自動運転よりはより簡易に、自動運転に近いようなといいますか、そういう交通手段も設けられるように道路法の改正も視野に入れられていると承知をしておりますので、引き続き、ラストワンマイルを支える手段としての自動運転技術のさらなる進捗に力を入れていただきたい、こう思います。
続きまして、地域旅客運送サービス継続事業について御質問いたします。
多様な移動手段を確保した上で、地域のアクセシビリティーを確保するために新たなサービス提供事業者等を選定をする、その際、可能な限り同一の乗り合いバス事業者等による同一路線の継続を目指すとしております。それが困難な場合には、順次コミュニティーバス等の検討を行うとしておりますけれども、例えば、一定の合理性があれば、タクシーとスクールバスなど、複数の事業者による複数の移動手段を混在させることを許容しているのか、この点を確認しておきたいと思いますが、国交省に答弁を求めます。
瓦林政府参考人 お答え申し上げます。
今回の法案におきましては、地域旅客運送サービス継続事業を創設いたしまして、路線バス等の維持が困難となると見込まれるに至った段階で、市町村等が、関係者とサービスの継続のあり方を協議して実施方針を策定し、公募により代替する輸送サービスを導入することができる制度を盛り込んでございます。
この新たな制度により、地域の実情に応じて、コミュニティーバス、ディマンド交通、タクシー、自家用有償旅客運送等の中から路線バスにかわる最適な旅客運送サービスを選択していただくことができるようになります。
その場合、地域や時間などによって、委員御指摘のように、一つのサービスだけでなく複数のサービスを組み合わせて提供することもできることとし、地域のニーズに柔軟に対応できるようにすることが適切というふうに考えてございます。
このような取組は既に各地で始まってございまして、例えば、鳥取県西部地域では、路線バスや自家用有償旅客運送がエリアごとに役割を分担しながら運行されております。また、愛媛県八幡浜市では、自家用有償旅客運送とスクールバスの乗りかえ地点を設定いたしまして、両者を連携させて住民の移動手段の確保が図られているところでございます。
国土交通省におきましては、本制度を適切に運用しまして、地域の実情に応じ、必要な場合には複数の旅客運送サービスの組合せにより移動手段の確保が進むよう促進を図ってまいります。
伊藤(渉)委員 ありがとうございます。
多種の移動手段を混在をさせることは許容しているという答弁でございました。ありがとうございます。
また、当然、こういうことをしなきゃいけない自治体というのは、そんなに大きくない自治体が多いといいますか、地方の自治体ですので、いろいろな事業スキームをうまいことまぜて地域の足が成り立つようにすると口で言うのは簡単なんですけれども、実際にやるのは結構難しいことで、そういう意味では、しっかりノウハウを持った国交省が地方運輸局等と連携をしながらよくサポートをしていただく、このこともぜひお願いをしておきたいと思います。
その移動手段の一つとして、かねてから存在しますけれども、自家用有償運送というものがございます。今回、この自家用有償運送の中で、交通事業者協力型自家用有償運送というのが検討をされております。
この自家用有償運送の話になると、現在、コロナウイルスのことで大変厳しい経営状況に追い込まれておりますタクシー事業者の皆さんが、必ず、この自家用有償運送の話が出てくると、白タク行為の解禁につながるのではないか、このことを大変御心配をいただくわけでございます。
ここはぜひ大臣に御答弁をお願いしたいんですけれども、白タク行為の解禁にはつながらない、その点について、しっかり大臣の方から御表明をお願いしたいと思います。
赤羽国務大臣 伊藤委員よく御承知だと思いますが、そもそも自家用有償旅客運送は、道路運送法による登録を受け、また、市町村等が運行管理等の措置や事故の際の賠償を行う体制を整備しているということでございます。
他方、いわゆる白タク、ライドシェアは、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としておりまして、国民の安全、安心の観点からは認めるわけにはいかない、これは従来から言っていることでございますし、この法改正においてもその考えは全く変わりません。
本法案におきまして、若干、数点改正をするわけでございますので、そこに懸念を持たれているかと思いますが、まず、観光客を含む来訪者のみであっても輸送対象とすることとしておりますが、この登録の申請に当たりましては協議会等において協議を行うことが必要な点、これはもう法改正後も全く変更はございません。また、観光客を運送する際にも、例えばオンディマンド型の輸送であれば当該観光客が事前に窓口に連絡する必要があるなど、無限定な運送は行われないというものでございます。
またさらに、今お話ございました事業者協力型の自家用有償旅客運送は、交通事業者が持たれているノウハウを活用して、市町村等が交通事業者に運行管理等を委託することで、より安全、安心な運行の実施を図ろうとするのが目的でございまして、私どもは、むしろ、白タク行為やライドシェアを防止するために必要なものであるというふうに考えております。
繰り返しになりますが、今回の法改正を契機にということではなくて、これからも国民の安全、安心が担保できないライドシェア、白タク行為は認めるわけにはいかないという考えは変わりません。
以上です。
伊藤(渉)委員 言明をしていただきまして、ありがとうございました。これで安心いただけると思います。
白タクの行為は、かねてから再三にわたって議論をされておりまして、最大のポイントは、今大臣おっしゃっていただいたように、安全を誰が担保するのかということだと思います。
今御答弁いただいたとおり、今回の自家用有償運送、交通事業者協力型というのは、あくまでも運行管理、つまり、安全の担保を事業者サイドが担う、そのために交通事業者、ノウハウがある事業者などの方に御協力をいただくというものでありまして、いわゆる白タク行為というのは、完全に、普通の人が普通の人を運ぶので、安全のリスクをお客様が保険等でリスクをヘッジする、そういう発想に立つのがいわゆる白タク行為でありまして、そうしたことが今後も絶対に発生しないように、我々もしっかり注視をしていきたいと思います。
続きまして、地域公共交通利便増進事業について、これは一つ大きな取組かと思います。
今回、この事業を使いまして、国交大臣による共同経営の認可に当たっては、必須条件として、収支が不均衡な状態にある路線が存在すること、これ以外にも選択で幾つか条件があるんですけれども、この収支が不均衡な状況にある路線が存在すること、このことは必須条件になっていると承知をしております。
では、具体的に、収支が不均衡とはどういう状態を指しているのか、また、この条件を必須としたのはどういう理由からか、国交省にお伺いをしておきたいと思います。
瓦林政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、独占禁止法特例法案におきましては、バス事業者の共同経営が適用除外となるための認可基準の一つといたしまして、共同経営の対象となる区域内に収支が不均衡な状況にある乗り合いバスの路線が存することを定めております。
この場合の収支が不均衡と申しますのは、当該区域内の乗り合いバス事業を路線ごとの収支で見た場合、赤字の路線が最低一路線あることの趣旨でございまして、これを前提に運用を行っていくこととしております。
これは、今回の独占禁止法特例法案が、地方都市などで厳しい経営環境に置かれている乗り合いバス事業につきまして、独占禁止法の制限を特例的に緩和することにより、事業者間の連携により利便性を向上させてサービスを維持していくことを目的としていることを踏まえ、採算性が十分に確保されている黒字路線のみで構成されている大都市部などの乗り合いバス事業については、独占禁止法の特例を認める必要性は乏しいとの判断のもと、このような基準を設けることとしたところでございます。
国土交通省といたしましては、この独占禁止法特例法案と本法案の両法案の制度を一体的に運用して、地方都市などにおけるバス交通の利便性向上や運行効率化を促進し、サービスの維持を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
伊藤(渉)委員 ありがとうございます。
赤字の路線が一つでもあるという、大事なお話をいただきました。字面だけ見ると、全部赤字でも均衡だったらだめなのかと私は思ったものですから、一応、念のため確認で質問させていただきました。
最後の質問にさせていただきます。
MaaS事業について、鉄道やバス、タクシー、レンタサイクルなどを乗り継いで移動する際、経路検索や予約、料金支払いをスマホでまとめてできる次世代サービスを普及をさせるため、交通事業者が割引料金などを設定する際の手続を簡略化するとしております。これも非常に大事な取組だと思います。
既に、福岡市、北九州市ではトヨタと西日本鉄道などが実用化をしているなど、多くの地域で導入が進んでおります。実験には、フェリーや海上タクシーなどの事業者も参加をしていると承知をしております。利用者の利便性向上、地域の新たなモビリティーサービスの創出という観点からも期待が寄せられております。
これは、実際にやろうとするとこういうことが多分難しいんだろうなと思うので質問しますが、複数の事業者間の調整、当然、それぞれにある程度利益が出ないといけませんし、利益をどういうふうに分配するのかとか、そういう調整が多分ポイントになってなかなか協議が始まらないといいますか、本当に厳しいところはもう背に腹はかえられなくて始まるんですけれども、積極的に導入しておこうと思うとそこが結構大変だな、こういう印象を持つものですから、その辺の、いわゆる複数事業者間の調整に国交省としてどういう支援を行っていく意向でおるのか答弁をいただいて、私の質問を終わります。
瓦林政府参考人 MaaSの普及を円滑に進めていく上では、委員御指摘のとおり、関係する事業者間の連携が極めて重要でございまして、公共交通も含め、移動を担う複数の事業者間の連携はもとより、移動目的となるサービスを提供する交通以外の業種の事業者との連携も効果的に促進していくことが大きな課題となっております。
このため、今回の法案におきましては、MaaSの事業計画ごとに、事業エリアの地方公共団体、交通事業者及び交通以外の他業種の事業者等が構成する協議会の制度を盛り込んでおります。この協議会には国土交通大臣が助言することができることとしてございまして、この制度を活用することで、幅広い地域の関係者が協議会の場で適切に連携し、実施事業の詳細などに関する合意形成を円滑に進めることができることになるものと考えてございます。
また、国土交通省におきましては、MaaSに参加する交通事業者が利用者向けのサービスあるいは路線、ダイヤ、運賃などに関するデータ提供の面でも連携しやすくなるよう、今年度予算におきまして、キャッシュレス化でありますとか交通情報のデータ化への国費補助を盛り込んでいるほか、先月には、有識者の助言に基づきまして、MaaS関連データの連携に関するガイドラインを取りまとめてございます。
今後、これらを効果的に活用しながら事業者間の連携を更に加速させ、全国への普及の実現に取り組んでいくこととしてございます。
伊藤(渉)委員 地域公共交通の活性化に向けて、引き続き国交省の全国的なサポートを心からお願いし、質問を終わります。
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