道路特定財源 是か非か?
1/25(金)、以下のとおり現時点の考えをまとめてみたので、ご一読下されば幸甚です。
道路特定財源の問題が連日報道されている。あらためて説明するまでもないが、揮発油税24.3円+地方道路贈与税0.8円の計25.1円/リットル等の暫定税率のことだ。昭和49年から導入され、時代に応じて変動はあったものの、今日まで暫定として主に道路事業のために活用されてきた。昨今の原油高が家庭を直撃し、ガソリンや灯油の高騰は庶民にとって大変な痛手だ。値下げが可能なら是非そうすべきだと私も思う。では本当に可能なのだろうか?
暫定税率による税収は全体で2兆6000億円、そのうち地方分は9000億円で、国からの交付金を含めれば1兆6000億円の地方財源となっている。愛知県に置き換えれば、県の道路歳出のうち、借金の返済に充てる1535億円を除いた年度事業分1123億円の実に50%近く(500億円以上)が失われることになる。その結果、道路の新設や改築、鉄道高架化事業や区画整理事業などの財源が全くなくなってしまうのである。しかし、財源が失われたからといってストップできない事業もあり、そうなると福祉や教育といった他の予算を削減しなければならない事態も想定される。この点については、さらに詳細に調査を進める。
一方で、「暫定税率は下げるが、地方における道路整備は従来の水準を維持する」という主張も見受けられる。そしてその財源は「地方向け補助金をカットすることにより生み出すことが出来る」というものだ。しかし、この主張にも疑念を抱かざるを得ない。
地方向け補助金は全体で19兆円あり、内訳は社会保障費が約13兆、教育関連費が約2兆、公共事業が約4兆円だ。
地方道路整備費における暫定税率分、約1兆6000億円を、19兆円の地方向け補助金から捻出して従来通り道路整備を維持すると主張する人々は、一方で高速道路の無料化をはじめ、様々な「バラまき」とも言える政策を喧伝しており、これらの政策実現のためと称して、同じ補助金の中から6兆4000億円を生み出すと既に公約している。
そうなると、19兆円の補助金のうち合計8兆円がカットされる計算となり、その財源を生み出すためには13兆円の社会保障費を大幅に削減するか、あるいは教育関連費と公共事業費を合わせた約6兆円をゼロにしない限り、到底実現できないのである。
責任がないからこそ言えるのだろうが、それにしても「ガソリンは安くします。道路も作ります」といった主張の根拠は薄弱であり、あまりにも無責任ではないかと思う。
私は何が何でも暫定税率維持を主張するつもりはない。その証拠に、昨年末の税制改正大綱には「自動車関係諸税については、・・・今後の抜本的な税制改正に合わせ・・・暫定税率を含め、そのあり方を総合的に検討する。」との文言を書き留めている。大切なことは、この国に住む私たちにとって「最良の選択とは何なのか」と言うことを、どこまでも合理的に突き詰める努力だ。そのことに引き続き全力を尽くす。
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