世界トップレベル日本の宇宙関連技術 – 伊藤わたる

世界トップレベル日本の宇宙関連技術

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宇宙航空研究開発機構(JAXA)の無人探査機「はやぶさ2」が今月6日、地球から遠く離れた小惑星「リュウグウ」の石や土砂などと見られる試料(サンプル)を採取し、地球に持ち帰った。日本の小惑星探査技術は、欧米先進諸国より「10年先を行く」と高く評価されている。また、運用を終えた人工衛星の部品などの宇宙ごみを除去する技術でも、日本は各国をリードしている。これら世界トップレベルの日本の技術について解説する。

■(小惑星探査)

月以外の天体に無人探査機を着陸させてサンプルを採取し、地球に持ち帰る「サンプルリターン」を成し遂げた国は、日本が初めてだ。2003年5月にJAXAが打ち上げた、はやぶさ初号機は、小惑星「イトカワ」の微粒子を採取し、10年6月に地球に持ち帰った。

今回、はやぶさ2がリュウグウのサンプルを回収し、地球に戻ったことで、2度目のサンプルリターンの成功となった。14年12月に打ち上げられてから6年間で、総移動距離約52億キロに及ぶ壮大な旅路を終えての帰還だ。

小惑星を構成する主な物質が岩石であるイトカワと異なり、リュウグウには水や有機物(炭素を含む化合物)も含まれていることから、そのサンプルの分析は、太陽系の成り立ちや地球の生命の起源を探る大きな手掛かりとなる。

小惑星などが衝突してできた地球や火星などの惑星は、その際に生じた熱や、その後の大気と地殻の変動で岩石などの構成物質が変質している。一方、小惑星には、太陽系が誕生して間もない頃の物質がそのまま変わらず残っているため、小惑星の探査が極めて重要となる。

■土砂など採取で画期的手法

リュウグウから、目視ではっきり分かる量のサンプルを採取できた技術も、はやぶさ2の「世界初の試み」の一つだ。リュウグウの表面に金属弾を発射して人工のクレーター(くぼみ)をつくり、地中のサンプルを採取した。

この技術は、将来的に、小惑星に存在する鉱物や水などの資源採掘のほか、地球に衝突する隕石の軌道を変える技術にも応用できるのではないかと注目されている。

■米アルテミス計画にも協力

宇宙探査分野で、米国は、日本との協力関係の強化を意欲的に進めている。

米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「オリシス・レックス」も今年10月、小惑星に着陸し、サンプルの回収に成功した。NASAは担当者をJAXAに派遣し、技術的課題などについて助言を得ていたことが実を結んだ。

宇宙飛行士を再び月面に降ろし、探査することをめざす米国の「アルテミス計画」においても、NASAは、日本が非常に重要なパートナーになるとの見解を示している。今年7月には、JAXAが同計画に協力することで、日本と米国が正式に合意した。

■(ごみの除去)

運用を終えた人工衛星やロケットの部品などは、ごみとなって宇宙空間を漂っている。その除去技術でも、日本は各国をリードしている。

JAXAによると、地球から観測した推定では、10センチ以上の大きさの宇宙ごみが約3万個、1ミリ以上のものだと1億個を超えるという。

宇宙ごみは、銃弾よりも速い猛スピードで飛び交っており、運用中の人工衛星に衝突する事故も起きている。

■来年3月から実証実験

宇宙ごみを除去する人工衛星開発を手掛ける、株式会社アストロスケールホールディングス(東京都墨田区に本社)は、大型の宇宙ごみを回収するために新規開発した人工衛星を来年3月に打ち上げ、実証実験を行うと発表した。

宇宙ごみ回収用の人工衛星が磁力でごみを引きつけ、回収後は、ごみと一緒に大気圏に再突入して焼却するという試みだ【図参照】。世界的にも成功例がなく、うまくいけば、宇宙ごみ除去の事業化に向けた大きな契機になると各国から注目されている。

■公明も全力で後押し

公明党は、宇宙探査や宇宙ごみ除去のための技術開発を積極的に推進している。

公明党の宇宙の開発・利用委員会は今月1日、財務省で伊藤渉財務副大臣(公明党)に対し、日本も参加する米国のアルテミス計画実現に向けた宇宙探査技術開発の促進など、宇宙政策に関する来年度予算の抜本強化に向けた決議を申し入れた【写真】。

また、同委員会は、アストロスケールホールディングスの岡田光信・最高経営責任者とも意見を交換するなど、宇宙ごみ除去技術開発も後押ししている。

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