(ニュース教室)大学入学共通テスト – 伊藤わたる衆議院議員

(ニュース教室)大学入学共通テスト

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議論の経緯と課題

2020年度に始まる大学入学共通テストを巡り、予定されていた英語民間試験の導入が延期され、国語と数学の記述式問題でも円滑な実施に懸念が広がっている。これらの経緯や課題を解説するとともに、公明党の取り組みをまとめた。

■(英語の民間試験)導入延期、抜本見直し。受験機会の格差是正が焦点に

大学入学共通テストは、現行の大学入試センター試験に代わり、21年1月に初回が実施される新たなテストだ。大きな変更点は、国語と数学での記述式問題の出題と、英語の「読む・聞く・話す・書く」の4技能を測るための民間試験の導入である。この民間試験がさまざまな論議を引き起こすきっかけとなった。

そもそも、共通テストに民間試験を採用した背景には、日本人の英語力を向上させるという狙いがあった。グローバル化が進む中で、異文化への理解を深めコミュニケーションできる能力を身に付けるには、英語の4技能を高めることが求められる。このため、現在の学習指導要領では中学、高校段階で4技能の育成を英語教育の柱に据えており、大学入試でも4技能を適正に測る体制づくりが検討されてきた。

ただし、約50万人が参加する共通テストで「話す」「聞く」を同じ日程で一斉に測ることは難しい。そこで、中央教育審議会の答申などを経て、大学入試などで実績がある民間試験を共通テストの枠組みに活用することが決定された【表参照】。

具体的には、受験生は来年4月から12月までの間に、日本英語検定協会など6団体が実施する試験のうち、希望する試験を2回受験。その成績を大学入試センターが集約し、志望大学に提供する予定だった。

ところが、準備が進むにつれ、さまざまな課題が表面化する。

大学側からは「試験ごとに難易度が異なり、合否判定に活用するのは難しい」などの指摘が相次いだ。結局、初年度に民間試験を利用する四年制大学は7割程度にとどまった。試験を行う業者側も会場や採点体制などの調整が難航。試験日程や場所の公表が遅れたことが、受験生や関係者を戸惑わせた。

さらに、「受験料が試験によって1回5800円から2万5000円程度になり受験生の負担が大きい」「試験会場が都市部に集中している」といった声が続出。居住地域や家庭の経済状況で受験機会に不平等が生じるとの懸念が広がった。

こうした状況を踏まえ、文部科学省は1日、英語民間試験の導入延期を決定した。抜本的に見直した上で、24年度を目標に新たな制度で実施したい考えだ。

■(国語、数学の記述式問題)採点の質と公平性確保めざす

英語民間試験導入の延期とともに対応が急がれているのが、国語と数学の記述式問題を巡る課題だ。

記述式は思考力や表現力を測るのが狙いで、国語と数学で各3問出題される。50万人程度の答案を20日以内に採点する必要があり、採点に従事するのは1万人規模とされる。採点業務は、通信教育大手のベネッセホールディングスの子会社「学力評価研究機構」が受託した。

だが、この採点者には大学生などアルバイトも含まれる予定で、受験生ごとの採点にぶれが生じ「公平性が保てないのでは」との疑問が上がっている。

また、記述式は受験生の自己採点と実際の点数との一致率が低いことも指摘されている。高校生約6万8000人が参加した試行調査(プレテスト)が18年に実施されたが、点数の一致率は国語が66・0~70・7%、数学が83・3~90・0%だった。受験生が意に反した大学を志望してしまう恐れがある。

そこで、大学入試センターは11日から、採点の質や公平性の確保へ向け、学力評価研究機構が実際に採点して検証する準備事業を始めた。来年2、3月ごろに公表される結果を踏まえ、文科省は改善に取り組む方針だ。

■“受験生第一”の対応協議へ/公明、ワーキングチーム設置

英語民間試験の導入延期を受け、公明党の文科部会は5日、文科省で萩生田光一文科相に会い、経済的な状況や居住地域、障がいの有無にかかわらず、等しく安心して受験できる体制の整備を求める提言を申し入れた。

席上、浮島智子部会長(衆院議員)は、延期に伴う問題に関して「準備を重ねてきた受験生や保護者、関係者への影響をしっかり把握し、ケアに努めるべきだ」と、“受験生第一”で対応するよう強調した。

また、6日の衆院予算委員会では、公明党の伊藤渉氏が英語民間試験の導入延期の経緯をただし、記述式試験についても分かりやすい情報提供を求めた。

さらに、公明党は14日、共通テストを巡る諸問題への対応策を協議するワーキングチームを文科部会内に設置した。英語民間試験に関する課題の洗い出しや政府への提言、記述式試験についてのフォローアップなどを行っていく。 

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