船員の育成&建設工事の価格適正化について国会質問
先週今週と国土交通行政に関わる諸課題について質問。
四方を海に囲まれた日本における日本人船員の育成→https://youtu.be/o4M-HKSVgzQ
建設工事における価格の適正化→https://youtu.be/-IZDyyrXUks について。
詳細はそれぞれ動画でご覧下さい!
5月15日
伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。
早速質問に入らせていただきたいと思います。
言うまでもなく、四面を海に囲まれた我が国において、海上輸送の重要性は極めて高いものがございます。
そこで、全般的な質問をまずさせていただきたいと思います。
最初は、外航海運における日本籍船及び日本人船員の確保についてお伺いをいたします。
日本の輸出入の輸送量、これは九九・六%を海上輸送が担っております。その海上輸送を支える日本商船隊が約二千五百隻、そして、日本籍船は減少の一途をたどってきましたけれども、これまでの諸施策の実施、トン税の導入などによりまして、ここ十年、日本籍船の隻数は増加傾向になりつつございます。また、あわせて、日本人船員数も減少傾向から横ばいといった程度に変化をしてきている、こう理解をしております。
経済の安全保障という観点から、日本籍船及び外航海運における日本人船員数の確保について、その基本的な考え方について、まず国交省にお伺いいたします。
水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、四面を海に囲まれた我が国にとりまして、貿易量の九九・六%を担う外航海運は、我が国経済、国民生活を支える基盤として極めて重要であり、我が国における安定的な国際海上輸送の確保を図る上で、日本船舶、日本人船員は、その中核となるべき存在であります。
日本船舶、日本人船員は、我が国の管轄権が排他的に及ぶため、経済安全保障の観点から、通常時より一定規模を確保することが必要であるほか、海上輸送の安全性の確保、操船技術などの海技の世代間の安定的伝承などの観点からも重要な意義を有していると考えております。
このため、日本船舶、日本人船員の確保に向けて、日本船舶・船員確保計画の着実な実施、トン数標準税制の活用、外航日本人船員確保・育成スキームによる中小船社への若年者の就業支援などの取組を進めているところでございまして、日本船舶の数は、最も減少していた平成十九年の九十二隻から、平成二十九年には二百三十七隻まで増加をし、日本人船員も、平成二十四年以降は二千二百人前後で推移し、減少傾向に歯どめがかかっている状況にございます。
今後とも、このような施策の着実な実施を通じまして日本船舶、日本人船員を確保し、もって日本商船隊による安定的な国際海上輸送の確保を図ってまいります。
伊藤(渉)委員 ありがとうございました。
外航海運は、御存じのとおり、世界のマーケットで戦っております。その外航海運を担う各社が日本籍船と日本人船員を確保するためには、どうしても国のサポートが必要になってきますので、引き続きの取組をよろしくお願いをしたいと思います。
続きまして、内航海運における船員養成について、これは御担当である牧野副大臣にお伺いをしたいと思います。
国内貨物の輸送活動量という数字があります。これは輸送のトンとキロを掛けた数字でありますけれども、全体の輸送活動量の約四割、これを内航海運が担っております。
そこにおける船員養成、これも極めて重要な課題であります。現在は海技教育機構や商船系大学、専門学校で養成をされている、こう承知をしております。
ここ数年、これもやはり取組の結果、三十歳未満の船員も増加傾向にあるものの、やはり継続した取組が大変に重要であります。必要十分な海技教育機構の予算の確保を始め、今後も船員養成にしっかり取り組んでいただきたいと思いますけれども、牧野副大臣の御答弁をお願いいたします。
牧野副大臣 お答えいたします。
委員の御指摘のとおり、内航海運は、国内の貨物輸送のおよそ四割、特に石油製品やセメントなど産業基礎物資の輸送においてはおよそ八割を担う、我が国の経済活動や国民生活に必要不可欠な輸送インフラでありまして、それを支える船員を育成し、確保することは極めて重要な課題であると認識しております。
一方で、内航海運を担う船員のうち、五十歳以上が占める割合は近年でおよそ五割となっており、高齢化が深刻な問題となっております。
これらの中で、船員の教育については、独立行政法人の海技教育機構などが連携して実施しております。
また、国土交通省におきましては、若年船員の雇用を促進するための施策も講じているところでありまして、今の御指摘にあったとおり、最近では、若年船員は若干の増加傾向になっております。
この海技教育機構でありますが、今年度の予算における運営費の交付金は、前年度に比べて一・〇一倍のおよそ七十二億三千万円となっておりまして、この予算を有効に活用しながら、最新の機器に関する業界のニーズに対応した訓練の実施など、教育の質の維持向上を図っております。
国土交通省といたしましては、今後とも、海技教育機構の事業の充実を図るほか、民間における船員養成への支援を含め、総合的な施策を講じることによって、海洋立国日本を支える若年船員の確保、育成を着実に推進し、安定的かつ安全な海上輸送の確保を図ってまいります。
伊藤(渉)委員 ありがとうございました。
繰り返しになりますが、やはり我が国は海に囲まれた国であります。海に囲まれた国の割には、海についての関心がまだまだ低いというふうに私は感じてなりません。この船員の養成、極めて重要でありまして、必要な予算の確保、重ね重ねお願いを申し上げておきたいと思います。
続きまして、SOx規制対応についてお伺いをいたします。
これは、国際海事機関、IMOにおける二〇〇八年の海洋汚染防止条約の改正によりまして、二〇二〇年、令和二年より、舶用燃料油の中の硫黄分の濃度規制が三・五%以下から〇・五%以下へ全世界的に強化をされます。船舶からのSOxの排出による人の健康や環境への悪影響の低減に取り組むもので、我が国は、環境先進国として適切な対応が必要だと考えております。
一方で、その対応のためには新たな設備投資などが必要と考えられて、海運業界、特に中小企業や小規模事業者の多い内航海運業界等から、心配の声を昨年末ぐらいから私はよく耳にするようになりまして、国土交通省とも御相談をさせていただいてまいりました。
その後、多分、こうした声も受けまして、国交省の指導助言のもと、船舶への影響調査、燃料油の動粘度低下によるエンジンへの影響調査など、調査、検討が進められていると承知をしております。
お伺いをいたしますが、このSOx規制対応の現状と課題について、局長、お伺いいたします。
水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、二〇〇八年の海洋汚染防止条約の改正によりまして、来年一月より、全世界的に船舶用燃料油中の硫黄分濃度を三・五%以下から〇・五%以下へと規制強化する、いわゆるSOx規制が開始をされるところでございます。
このSOx規制に適合するためには、長期的にはLNG燃料船を建造するという選択肢がございますが、当面は、排ガス洗浄装置、スクラバーと申しますけれども、この排ガス洗浄装置の搭載や規制適合油の使用による対応が中心として想定されておりまして、特に規制適合油に関する課題の解決が極めて重要な課題であるというふうに認識をしております。
規制適合油は、動粘度や流動点といった油の性状が従来の燃料と大きく異なることが想定されておりますことから、国土交通省では、船舶の安全運航が可能な性状の規制適合油が安定的に供給されるよう、船舶のエンジン、燃料ポンプ、燃料タンクの加熱設備などに関する詳細な調査を実施してきたところでございます。
その調査結果を受けまして、船舶の安全や運航への影響を最小化しつつ、石油業界が安定的に供給できる油の性状に関し、二月に、海運、石油双方の業界の共通認識が得られたところでございます。
また、海運事業者が規制適合油を使用する際に必要となる対策や留意点につきまして、国土交通省の方で手引書を取りまとめまして、その手引書を四月三日に公表するとともに、業界にも周知をしたところでございます。
今後、国内で供給予定の規制適合油を用いた実船トライアルを早急に実施し、海運事業者が準備に万全を期すことができるよう、現在準備を進めているところでございます。
また、今回のSOx規制は、全世界において大気環境を改善し健康被害を低減するためのものでございまして、社会全体に貢献するための環境規制でございますので、そのコストは社会全体で負担していただくことが重要であると考えております。
海運事業者におきましては、燃料費がコストの中に占める割合が極めて大きい構造になっておりますので、仮に規制適合油の価格が現在の燃料よりも大きく上昇した場合、海運事業者だけでそのコストを負担することは困難であると考えております。
そのため、国土交通省では、今回の規制対策に伴って生じる環境コストの適切な分担のため、内航海運事業における燃料サーチャージ等ガイドラインを策定し、四月四日に公表いたしました。
加えて、SOx規制強化とそれに伴う影響について、荷主の皆さんも含め広く社会の御理解を得る必要がございますので、四月二十三日に経団連、関係業界との共催でシンポジウムを開催するなど、情報の発信にも努めておるところでございます。
技術的な検証に加えまして、こうした荷主企業の皆さんを始めとする国民の皆さんへの環境規制の理解の醸成などを通じまして、二〇二〇年からのSOx規制に円滑に対応できるよう、しっかりと取り組んでまいります。
伊藤(渉)委員 ありがとうございました。
まさに最後に答弁いただいたように、コストを社会全体で負担をしていく、これは大変重要なことでございまして、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
最後の質問になります。
難破物の除去損害についてですけれども、今回の規定で、除去の措置については港湾法その他法令の規定による決定が前提となっておりまして、港湾法や海岸法等の各法が船舶の除去命令を発することができる範囲、これは、港湾区域や海岸保全区域等、それぞれの法が適用される範囲に限定をされております。そして、それらの範囲は我が国の海岸や海域を全てカバーできていない、こう理解をしているので、続けて二つ質問します。
なぜ、我が国の領海内における座礁船に対して、範囲の切れ目なく撤去を命ぜられるような仕組みにしなかったのか、また、港湾区域や海岸保全区域等の法の適用される区域以外で難破物が生じた場合に、この難破物に対し除去命令が出せないことによって、船舶所有者の撤去義務が生じないことにならないのか、また、このことは、我が国で数多く生じている座礁船の対策に問題ではないのか、これをお伺いします。
水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。
座礁船の撤去に関しましては、港湾法や海洋汚染防止法などの法律に基づきまして、各法律の保護法益に鑑みて撤去が必要な座礁船に対しては、それぞれの法律の規定に基づきまして港湾管理者や国などが撤去命令を発出することができるようになっております。
このため、本法案におきましては、改めて領海全域にわたっての座礁船に対する撤去命令に係る規定を設けなかったということでございます。
もう少し具体的に申し上げますと、港湾法や海岸法などの海域の管理に関する法体系では、各法律の保護法益に応じて区域を定め、当該区域における座礁船に対して必要な撤去命令を発出することができることとなっております。
さらに、海洋汚染防止法では、海洋汚染が海洋環境の保全に著しい障害を及ぼすおそれがある場合には、座礁船が領海内のいずれの区域に所在するかにかかわらず、当該座礁船に対して必要な撤去命令を発出することができることとなっております。
このように、座礁船に対して、各法律に基づき必要な撤去を命ずることができることとなっておりますので、問題は生じないものと考えております。
伊藤(渉)委員 ありがとうございました。
以上で終わります。
5月22日
伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。
引き続きまして、建設業法及び入契法の一部改正法案の質疑に入らせていただきます。
この委員会でも繰り返し申し上げているとおり、この国土交通行政にかかわる、今回は建設業ですけれども、これも多くの中小企業、小規模事業者の支えがあって成り立っておりまして、これらの各企業も含めて、賃上げを伴う経済の好循環を実現していくためには、いわゆるBツーB、企業間の取引の価格の改善ということを進めていかなければなりません。
そうした観点から、まず一問目は、各論ですけれども、鉄骨の加工業者、これの取引条件の改善について御質問をさせていただきます。
例えば、ビルの建設などに使われる鉄骨、この鉄骨加工業者、通称ファブと呼ばれますけれども、この取引について、かつて実態調査を行いましたところ、元請である建設業者が、下請である鉄骨加工業者が施工した鉄骨の出来高部分、でき上がった部分に相当する代金を支払う際に、代金の一部を保留をし、契約工事全体、つまり施主から受けた工事全体が完成するまで、鉄骨そのものは納まっているのに一部代金が支払われないという事例があることが判明をしております。
また、この支払い保留については約一五%の建設業者が行っておりまして、保留の理由につきましても、工事目的物の瑕疵を担保するため、あるいは、自社の資金繰りが悪化するのを避けるため、あるいは、特に理由はないが慣例となっているためなど、本来、契約上の瑕疵担保条項で対応すべきものや下請人の責によらないもの、明確な理由もなく行われているものであることが明らかになってまいりました。平成二十八年十二月に国土交通省が調査結果を発表をされていると承知をしております。
これを受けまして、国土交通省と経済産業省の連名で、建設業団体に以下のような概略、要請がなされております。
一つは、元請人が出来高部分に対する支払い又は工事完成後における支払いを受けた場合、あるいは元請人が下請人から建設工事の目的物の引渡しを受けた場合における支払い保留は建設業法の規制を受けるほか、取引上優越した地位にある建設業者が、その地位を利用して取引の相手方に対し不利益を与えることは、独禁法の優越的地位の濫用に該当するおそれがあること、また、鉄骨加工業者と下請契約する際には、こうした点に留意をして取引の適正化を図る必要があること、また、月ごとの出来高部分について支払い保留を行う場合であっても、例えば翌月の支払い時においてその保留部分を解除する契約内容にするなど、多岐にわたって通知をしていただいております。
この点につきまして、この鉄骨加工業者、通称ファブとの取引条件の改善の進捗状況について、国土交通省にお伺いいたします。
野村政府参考人 伊藤委員御指摘のとおり、鉄骨加工業者と建設業者との取引条件の改善に向けた取組について、平成二十九年三月、国土交通省と経済産業省の局長連名による要請文書を百六の建設業者団体に発出し、取引の適正化を求めております。
この要請文の発出以降、国土交通省では、例えば、建設業許可部局が建設業者に指導のために立入検査に入るときなどに、改めて要請文書の周知を実施しているところでございます。
また、毎年十一月を建設業取引適正化推進月間と定めまして、講習会の開催などにより、建設業の適正取引化及び法令遵守に関する活動を集中的に実施しておりますけれども、その中でも、経済産業省の職員の方を招いて、要請文書に関する説明を行ってきたところでございます。
委員に御紹介いただいた実態調査は、特定の業種に限った調査ではないため、鉄骨加工業に関しての実態を把握することはできませんけれども、この中で、平成二十九年度から、支払いの実態をより正確に把握できるように、下請負人に対して出来高の何割を支払っているかという質問に変更したところ、出来高全額を支払っていると回答した割合は、平成二十九年度調査の七二・六%から平成三十年度七四・五%と、若干ではありますが、改善をしたところでございます。
国土交通省といたしましては、今後とも、鉄骨加工業者と建設業者との取引関係の実情に注意を十分払いながら、引き続き、取引環境の適正化に取り組んでまいりたいと考えております。
伊藤(渉)委員 ありがとうございます。
言わずもがなですが、企業の経営において、キャッシュフローというのは極めて重要です。これがルールにのっとって行われるように、引き続き御指導をお願いしたいと思います。
また、あわせて、いわゆる鉄骨関連で、今、現場で、実はかれこれ一年ほど耳にしていることは、やっとニュースにもなりつつありますけれども、ボルトが足りなくて現場がとまっている。大きい物件ほど、先に先に発注が立ちますので、ボルトの予約があって、小さい物件ほど、やろうと思っても、ボルトがないから前に進まない。これも、いわゆる建設業のボトルネックになりかねないリスクを持っておりますので、きょうは、特にこの点、通告をしておりませんので、ぜひお願いをしておきたいと思います。
続きまして、建設業の働き方改革について、これも、やはり現場でよくお伺いをする例を少し御紹介をしながら御質問したいと思います。
これは住宅建設のいわゆる工事店にお伺いをしたんですけれども、大体、通常、朝八時ぐらいから現場で仕事を始めます。よって、工事関係者は、その前に自分の会社に集まって打合せを行います。ですから、会社から現場までの移動時間が大体一時間だとすれば、現場が八時から動くのであれば、会社には七時に通常集合します。
この一日の労働時間を考えてみますと、現場の終了が夕方の五時だとしますと、移動時間をプラス一時間、また、会社に帰ってきて、あしたの準備なんかをしてから帰られますから、朝七時から夜六時までの十一時間ということになります。
時間内を仮に八時間とすると、時間外は三時間。おおむね、現実、今も土曜日はやはり動いておりますので、一週間で、三時間掛ける平日五日で十五時間。プラス、土曜日というのは、休日出勤になるとすれば十時間、一週間で計二十五時間、時間外労働が発生をする、単純に言うとそういうことになります。これは四週間で百時間ということになります。
この時間数は、私が建設業の現場を拝見するにつけ、現時点においてはごく当たり前に発生している労働時間だと思います。これを五年後、二〇二四年四月までに法定内に抑えていくためには、施工者はもとより発注者の理解が極めて重要になるというふうに考えております。
また加えて、働く皆さんの賃金、これは少なくとも、これは本当は上げていかなきゃいけないわけですが、変わらないようにするためには、工期を延ばし、かつ発注単価を更に改善をしていかなければならないというふうに考えます。
といいますのは、一週間、五人で、土曜日まで含めて六日かかる仕事、つまり、総人工三十人、これを五日間で終わらそうとすれば一日六人が必要なわけですから、単純に考えれば工事費は一・二倍ということになります。
なかなかそう単純にはいかないと思いますけれども、受発注者双方への理解を促して建設業界の働き方改革を進め、後継者の確保に努めていかなければならないと考えておりますけれども、建設業の働き方改革について、大臣の御決意、御所見をお伺いしたいと思います。
石井国務大臣 国土交通省といたしましては、発注者の理解と協力を得ながら建設業の働き方改革を進めていくことが喫緊の課題と認識をしております。
そのためには、本法律に規定されております、著しく短い工期による請負契約の締結の禁止や、中建審による基準の作成、実施の勧告のほか、公共工事入札契約適正化法の適正化指針に追加をいたします施工時期の平準化の推進を迅速かつ円滑に施行し、民間事業者を含む発注者への働きかけを通じ、長時間労働を是正し、働き方改革を進めてまいります。
また、本年三月から、設計労務単価を七年連続で引き上げたほか、週休二日工事における補正係数を継続をいたしました。
これらの取組が現場の技能労働者の賃金水準の上昇という好循環につながるよう、適切な請負代金で契約をし、技能労働者の賃金水準を確保することなどについて、本年三月、私から建設業団体のトップに対しまして、直接要請を行ったところであります。
加えて、公共工事の入札契約におきましても、この四月から、低入札価格調査基準の上限を予定価格の九二%に引き上げるなど、ダンピング対策を強化しているところであります。
建設業の関係団体においても、国土交通省の取組と歩調を合わせ、各団体の現状を踏まえつつ、長時間労働是正に係る自主的な取組を進めていただいております。
国土交通省といたしましては、本法案の規定を適切に運用することなどによりまして、罰則つき上限規制のかかるまでの五年の猶予期間内で建設業における働き方改革の取組を更に加速化させ、担い手の確保を進めてまいりたいと考えております。
伊藤(渉)委員 ありがとうございました。
つい先週、新国立競技場の現場をこの国土交通委員会で視察をさせていただいて、大変すばらしい現場でありました。ああいう現場がふえればふえるほど若い方もこの建設業という職種で働いていただく方がふえていくんだろうな、こう痛感をしたところでありますので、引き続きの取組をよろしくお願いしたいと思います。
続きましては、今大臣からございましたとおり、国土交通省、大臣指導のもとで公共工事設計労務単価の改善を累次に行っていただきまして、現場の状況はかなり改善をしてきたというふうに認識をしております。
さらに、その上で、やはり現場に行くと、地方自治体の発注あるいは民間発注の工事、ここにこの国土交通省の直轄工事でやっているような流れをどう波及させていくかというのがポイントだというふうに思っております。
我々国会サイドも、これまで、建設職人の健康安全確保法などの成立をさせ、こうした価格の適正化が浸透をするように取り組んできたところであります。
特に、地方自治体及び民間発注による工事の価格の適正化についての取組、国土交通省にお伺いをしたいと思います。
野村政府参考人 まず、国土交通省直轄工事では、経済社会情勢の変化を勘案し、市場における労務及び資材等の最新の実勢価格を踏まえて適正な予定価格を設定する、設計労務単価が改定されたときにはそれを速やかに反映させるという取組を行っておりますけれども、地方公共団体に対しましても、労務単価の改定の結果をできるだけ早期に活用するように促すなど、実勢価格を適切に反映させた適正な予定価格を設定するよう要請しております。
また、民間工事につきましては、当事者の合意により請負契約額が決定されるものではございますけれども、やはり、労務単価が改定された場合には、適正な水準の賃金が発注価格に適切に盛り込まれるように、民間発注者団体に対して、これも累次要請を行ってきたところでございます。
こうした取組を引き続き力強く進めていきたいと考えております。
伊藤(渉)委員 ぜひよろしくお願いします。
それを進めるために、最後、御質問です。
要請をすると同時に、現場がどうなっているかをやはり把握をしていただく必要があると思っていまして、私の聞くところによりますと、今ございましたとおり、国交省の直轄工事は、最終下請業者がどの程度の単価で仕事を受注しているかを調査をしているというお話を聞きました。そうであれば、その同じ業者が民間や自治体発注工事も仕事としてやっていると思うわけです。
であれば、その同じ業者の方に、国交省が直接発注した工事の最終請負単価等を調査するときに、並行して、その会社が同じような仕事を自治体や民間から受けている、その現状がどうなっているか、これは手間もかかりませんし少し数多く聞くだけのことなので、こうした現状把握を進めていただけないでしょうかと思うわけですが、どうでしょうか。
野村政府参考人 委員御指摘のいわゆる公共事業労務費調査、これは、直轄工事だけではなくて、公共団体工事に従事した技能労働者に支払われた賃金を調査してございますけれども、対象工事が都道府県及び政令市にとどまっているほか、発注者別に調査結果を公表する形にはなっていないところでございます。さらに、いわゆる請負金額そのものまでは調査をしてございません。
一方で、毎年度、全国の一万四千の建設業者に対しましては、いわゆる下請取引等実態調査というものを行っております。
これは、下請取引の実態を把握するために、支払い期間やその方法などについて調査をすると同時に、その結果の公表、さらには、不適正な取引が認められた建設業者に対しまして是正措置を講じるように指導する、繰り返し不適正な取引が行われているおそれのある建設業者や調査に未回答の建設業者に対しましては立入検査などを実施するなど、下請取引における適正な価格での支払いを直接指導するような形の調査ともなっております。
そのような私どもの調査と、それから業界団体でもそれぞれ自主的な取組を講じていただいておりまして、今、業界全体で処遇改善に取り組んでいこうという機運は、確かに私は盛り上がってきているかと思っておりますけれども、これからも官民一体で取り組んでまいりたいと考えております。
伊藤(渉)委員 ありがとうございました。
今ありましたとおり、調査した結果を全て公表する必要があるとも思いませんし、できることであれば、今申し上げたとおり、地方自治体、民間発注工事にこの国土交通省が取り組んでいる流れがより強く波及するように、引き続き取り組んでいただけますことをお願いし、質問を終わります。
ありがとうございました。
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