新たな育児休業制度が開始へ
育児休業期間を最長2歳まで延長する改正育児・介護休業法が、10月1日から施行される。改正法のポイントや背景、今後の課題を解説する。
育休最長2歳まで延長。個別周知、育児目的の休暇設置も
新たな育児休業制度がスタートすることで、子育てと仕事を両立しやすい環境が前進する。
ポイントの1点目は、育児休業期間を最長2歳まで延長したことだ。現行では、育児休業期間は原則1歳までとされ、保育所に入れない場合、1歳6カ月まで認めているが、10月からは、1歳6カ月に達した時点で、6カ月再延長できる。
併せて、育児休業給付の支給期間も2歳まで延長される。育休中の所得は、育休を取ってから6カ月間は賃金の67%、それ以降は50%、延長の場合も50%が雇用保険から給付。10月からは、再延長を申し出れば1年6カ月を超えた後も50%が保障される。
2点目は、事業主が、従業員またはその配偶者が妊娠・出産したことを知った場合、個別に育児休業などに関する制度を周知する努力を求められることだ。
3点目は、特に男性の育児参加を促すため、就学前までの子どもを抱える従業員が育児を目的に使える休暇制度を設ける。
現状を見ると、育児を目的とした休暇へのニーズは高まっているにもかかわらず、夫は、妻が妊娠・出産した際、有給休暇など育児休業制度以外の休暇を利用しているケースが多い。また、育休以外に全日の休暇を認める子の看護休暇もあるが、負傷や疾病にかかった子の世話をする事情のない場合には、制度を利用できない。
こうした実情を踏まえ、いわゆる配偶者出産休暇のほか、入園式などの行事への参加など、従業員が育児にも利用できる多目的休暇の設置に努めるよう、事業者に義務付けた。
背景 離職を防ぎ、女性活躍推進
育児休業期間を延長した背景には、保育所に入れなかったなどの理由で、育児のために離職を余儀なくされる事態が発生していることがまず挙げられる。
また、保育所への入所は一般的に年度初めの4月であることから、それまでの期間、保育所に預けられなかったり、育休を取得できず、結果的に離職や女性活躍の後退につながる可能性が指摘されている。
さらに、0歳児の間に保育所に入所できればいいが、入所できなかった家庭との不公平感も生じてしまう。こうした実情を踏まえ、育休期間をさらに延長することが求められている。
休みづらい職場環境の改善など課題
新たにスタートする育児休業制度。いかに実効性を高めていくかが今後の課題となる。その第一歩として、従業員が育休制度を利用しやすい環境を整えることが事業者に強く求められる。
民間調査によると、従業員が育休を取らなかった理由で目立つのは、「職場が育児休業を取得しづらい雰囲気だった」との回答だ。従業員が育休取得を断念することがないような仕組みづくりを本格的に検討する必要がある。
10月の法施行に伴い、1カ月を超える有休の育休制度を導入する企業も出てきた。新制度の導入をきっかけに、こうした取り組みが全国的に広がることが期待されている。
一方で、政府は、新制度の趣旨を事業者に理解してもらうため、周知を図っている。
厚生労働省は新たな育休制度について、ホームページ上で周知するほか、都道府県ごとに事業者への説明会などを開催しているという。「働き方・休み方改革」が進む中、育休取得に向け、官民一体となった取り組みの強化が急がれる。
公明、新制度の構築をリード
公明党は子育てと仕事が両立しやすい環境を整備するため、育児休業制度の改善・充実に取り組み、法改正をリードしてきた。
また、党内閣部会(部会長=佐藤茂樹衆院議員)は来年度予算概算要求に関する重点要望などを通じて、政府に育休期間の延長を再三要請。待機児童問題が注目される中、党待機児童対策推進プロジェクトチーム(座長=高木美智代衆院議員)も保育士の育休取得の推進などを政府に要望するなど、きめ細かい制度の構築に力を注いでいる。
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