映画「黒部の太陽」で有名な「黒部ダム」を視察
こんばんは。今夏の「黒部ダム」視察の報告をさせて頂きます。
世紀の難工事と言われた黒部ダム建設の苦闘、特に関連するトンネル工事を描いた1968年公開の石原裕次郎主演の映画「黒部の太陽」は多くの皆様がご存知ではないでしょうか。
先人が未開の黒部渓谷に足を踏み入れたのは大正時代。電力供給を改善するために多くの技術者が発電用ダムの建設に情熱を注ぎました。
「黒部の太陽」でクローズアップされたのは、昭和31年に着手した黒部渓谷のダム建設の最終形となる黒部川第4発電所のためのダム建設。通称「黒四ダム(くろよんダム)」とも呼ばれています。
高さ約190mの巨大なアーチ式ドーム越流型ダムの高さは186mで日本一を誇り、現在でも破られておりません。
この「黒部ダム」建設の行く手を阻んだのが「破砕帯(はさいたい)」と呼ばれるとても崩れやすい全長80mにおよぶ軟弱な地層でした。そこから吹き出す地下水は4℃、それが毎秒660リットルもの勢いで降ってくるのです。毎秒660リットルというのは、水道の蛇口をほんの一瞬ひねるだけでパッと浴槽がいっぱいになるような量・・・と表現するとその凄まじさが分かってもらえるかもしれません。
現代の技術を持ってしても難工事と言えるこのダム建設を、当時の技術者たちが文字通り命がけで成し遂げたのです。
これ以外にも、小説「高熱隧道」に書かれている黒部川第3発電所建設も有名で、岩盤温度160℃超という信じられないような過酷な作業環境の中で作り上げられていきました。
この黒部渓谷に建設された発電用ダム群と12カ所の発電所によって、原子力発電所1基分に相当する約100万kwが今なお発電されています。
技術の力によって自然を味方に変えてきたのです。
資源のない日本にとって、人口減少に直面する我が国にとって、人材が宝であり、その人材が持つ力を最大限に発揮できる社会をさらに広く、強く、創り上げていかなければなりません。
技術者の端くれとして、あらためてそのことを強く印象付けられた視察でした。
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