病気で仕事を休んだ場合の傷病手当金
「通算1年半」まで受給可能
働くがん患者らの願い実現
健保法が改正
闘病しながら働く人の生活を守る―。先の通常国会では、会社員らが病気やけがで仕事を休んだ場合に健康保険から支給される「傷病手当金」を使いやすくする改正健康保険法が成立した。従来は同一の病気などに対し、支給期間が「支給開始日から最長で1年半」だったが、改正後は「支給日を通算して最長で1年半」となる。施行は来年1月1日だが、経過措置として、現在の受給者も施行日時点で受給権があれば対象となる。働く、がん患者らの訴えを受け、公明党が推進した。
傷病手当金は、業務外の事由による病気やけがで働けない場合に、休業した日単位で支給される。しかし、会社員らが加入する健康保険では、受給開始から1年半が経過すると、その途中に手当金が支給されない復職期間があっても、受給が切れる課題があった。このため、休暇を取得して療養しながら働く人にとって不便な制度となっていた。
公明党は、療養中のがん患者から改善を求める声を受け、有識者とも意見交換を重ねながら、政府に改善を要請。2015年8月には、党がん対策推進本部が厚生労働相に対して、がん対策に関する提言を申し入れ、支給期間の通算化を迫った。
17年2月の衆院予算委員会では、同推進本部の伊藤渉事務局長(当時)が、国のがん対策推進基本計画に通算化を明記するよう主張。厚労相が「適切に検討したい」と答弁し、その後、策定された同計画や働き方改革実行計画に「支給要件などについて検討し、必要な措置を講じる」との記述が盛り込まれた。
以後も公明党は、国会の代表質問や委員会質疑で制度改善を繰り返し主張。今回の法改正に結び付けた。
傷病手当金の支給額は、月収(直近12カ月の標準報酬月額の平均)を30で割った額の3分の2相当。休暇中に給与の支払いがある場合でも、その額が同手当金より少なければ差額分が支給される。厚労省によると、通算化は、20年7月2日以降に受給を開始した人が対象となり、来年度は約4万人を見込んでいる。
温かい制度改善、公明に感謝
全国がん患者団体連合会・桜井なおみ理事
法改正は、働きたいと考えている、がんや難病などの患者に温かい制度改善だ。その恩恵は、会社の規模や雇用形態に関係なく、正社員や、正社員並みに働く非正規雇用の人にも広く届く。
特に、がん治療はお金がかかり、働いて収入を得ながらでないと続かなくなるケースが多いが、改正によって、入退院を繰り返したり再発したりした場合も、柔軟に制度が利用できるようになる。
公明党が私たちの声を代弁し、政府に必要性を粘り強く訴えてくれたから実現にこぎ着けられた。とても感謝している。
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