衆議院本会議で内閣不信任決議案に断固反対の立場で討論
伊藤渉君 公明党の伊藤渉です。
私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました安倍内閣不信任決議案に対し、断固反対の立場で討論を行います。(拍手)
本年は、これまでに、西日本を中心にした平成三十年七月豪雨、大阪府北部地震、島根県西部地震、北陸地方を中心とした平成三十年豪雪など、甚大な被害を伴う災害が相次ぎ発生をいたしました。改めて、犠牲となられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げます。
とりわけ、今般発生した豪雨災害については、被害の全容把握、不明者の捜索が行われている最中です。
公明党は、発災直後に対策本部を設置するとともに、関係議員が現地に急行、被害状況を調査し、被災された方々から直接要望を伺うなど、全力で対応に当たっております。七月十七日には、党対策本部として、安倍総理に対し、土砂撤去や水道復旧など、必要な対策をまとめた緊急要請を行ったところです。政府には、引き続き万全の体制で復旧復興に取り組んでいただくようお願いをいたします。
政府は、いずれの災害にあっても、安倍総理の指揮のもと、直ちに官邸に連絡室や対策本部等を設置、早急に被災自治体と連携を図り、迅速な情報収集の上、人命最優先で適時適切な対応に努めてきました。そして、発災当初はプッシュ型支援を基本に、必要に応じて災害救助法の適用や激甚災害指定に向けた検討を機動的に行うなど、スピード感を持った対応により、被災者へのきめ細かな支援に全力を挙げてきました。また、被災状況によって速やかに自衛隊を派遣するとともに、消防、警察、自治体等と連携を図りつつ、被災者の救助、インフラの復旧などを適切に行ってきました。
国民の生命と財産を守ることは、まさに政治の責任であります。したがって、本来であれば、大きな災害に見舞われた今こそ、我々国会議員は与野党超えて結束し、災害対応に当たらなければなりません。
野党第一党の党首が、豪雨災害発生直後、政府が災害対応に全力を挙げて取り組めるよう、政治休戦を含めて、党を挙げて対応すると発言されたのは一体何だったんでしょうか。ましてや、全国民の真心のこもった義援金の差押え禁止法案の参議院での委員会採決を阻む形での内閣不信任決議案の提出は言語道断。言葉あって心なし。野党の政治姿勢そのものを厳しく指摘をしておきたいと思います。
以下、三点にわたって、不信任決議案に対する反対の理由を申し述べます。
第一に、自公政権五年半で日本経済は大きく改善し、もはやデフレではないという状況まで来ました。(発言する者あり)
議長(大島理森君) 御静粛に。
伊藤渉君(続) いよいよここからがデフレ脱却に向けての正念場です。この目的を達成するためには、経済運営の継続性が不可欠です。そのことは、この五年半の経済政策の結果を見れば一目瞭然です。
自公政権が進めてきた経済政策で着実な景気回復を続ける中、企業収益は過去最高を記録し、設備投資はリーマン・ショック前の水準を超えて拡大。企業部門の改善は家計部門に広がり、雇用・所得環境も大きく改善をしています。
六月二十九日に公表された五月の完全失業率は二・二%と、前月比で〇・三ポイント低下、一九九二年十月以来となる二十五年七カ月ぶりの低水準となりました。同じく五月の就業者数、雇用者数は六十五カ月連続の増加を続けています。六月二十九日公表の有効求人倍率は一・六〇倍に上昇、一九七四年一月以来四十四年四カ月ぶりの高水準となるなど、雇用情勢は一段と改善が進んでいます。
企業の賃上げについては、経済界に対する政府の賃上げ要請を受けて、二十年ぶりの高水準となりました。
七月十日に経団連が発表した二〇一八年春闘の最終集計によると、大手企業の定期昇給とベアを合わせた賃上げ率は、前年比で〇・一九ポイント上昇して二・五三%。賃上げ率の上昇は二年連続、引上げ率は、一九九八年以来二十年ぶりの高水準となり、五年連続で二%を超える結果となりました。また、引上げ額も、九七年以来二十一年ぶりの大きさとなりました。
さらに、若者雇用の改善は顕著であります。二〇一八年三月の大学生の就職率は九八%と、実に、調査開始以来、過去最高を記録しました。学生や若者が将来に希望を持てるように取り組むことは政治の責任であります。若い世代における内閣支持率が他の世代と比較して高いのは、このような結果のあらわれであると言えます。
これらの経済指標は、第二次安倍内閣発足以来、デフレ脱却へ向けて取り組んできた経済政策の成果が確実にあらわれてきたことを明確に示すものです。今後、地方や中小企業を含めて、実感のある景気回復を更に広く行き渡らせるべく、これまでの経済政策を更に力強く推し進めていかなければなりません。
第二に、安倍内閣は外交でも目をみはる成果を上げています。
本年上半期は、外交で大きな動きがありました。とりわけ、北朝鮮をめぐる問題が世界の注目を集めました。北朝鮮が国際社会の非難を無視し、核・ミサイル開発を続ける中、これまで安倍内閣は、アメリカ政府と連携し、経済的に圧力をかけるなど、国際社会と協調した対応を続けてきました。
そのような中、六月十二日、史上初となる米朝首脳会談が行われ、共同声明において、金正恩委員長が朝鮮半島の完全な非核化に向けた意思を改めて明確に約束した意義は大きいと考えます。日米韓を始め関係国による緊密な連携のもと、結果として、朝鮮半島の非核化へと歩みを進めることとなりました。その際、安倍総理の働きかけにより、トランプ大統領を通じて、金正恩委員長に対し拉致問題に関する日本側の考えが提起されたことは、極めて重要な事実であります。
その上で、今なお北朝鮮は、我が国のほぼ全域を射程におさめるミサイルを数百発保有、実戦配備していることなど、昨今の北朝鮮の軍事的な動きは、我が国の安全に対する、これまでにない、重大かつ差し迫った脅威であることに変わりありません。我が国を取り巻く安全保障環境を踏まえ、安倍総理のリーダーシップのもと、強固な日米関係を基軸に、引き続き各国と緊密に連携し、適切に対処することが期待されます。
また、これまで安倍内閣は、実に七十六カ国・地域を訪問し、各国首脳との会談等を通じ、積極果敢な外交を展開してまいりました。七月十七日には日本とEUが経済連携協定に署名し、これが発効すれば世界最大級の自由貿易圏が誕生することになります。保護主義的な動きが世界に広がる中、我が国として自由貿易をリードする姿勢を世界に鮮明に示すことができたと考えます。
第三に、自公政権は、今国会においても、内政における重要な課題である人口減少社会に立ち向かい、国民生活に資するための極めて重要な数々の施策を実行してきました。
今国会で成立した主な法案だけでも、政府が最重要課題と位置づけて取り組んできた働き方改革関連法を始め、自由貿易を推進するTPP協定及び国内整備法、新たな産業の柱として期待される観光産業を支えるための財源を生み出す国際観光旅客税法、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会へ向けての受動喫煙対策を強化する改正健康増進法、約百四十年ぶりの大改革である成人年齢引下げを定めた改正民法などを成立させることができました。
中でも働き方改革関連法は、時間外労働の罰則つき上限規制や勤務間インターバル制度、同一労働同一賃金を定めるなど、労働基準法制定以来初となる画期的な大改革となりました。これにより、働く人の心身にわたる健康を守り、多様で柔軟な働き方を可能にするとともに、雇用形態にかかわらない公正な待遇確保につながります。この法律が一部野党の御協力をいただき成立させることができたことは、実に意義深いことと考えております。
安倍総理を始め政府においては、国会の求めに応じ、その都度、法案審議に資する丁寧な答弁に努めてこられました。例えば、安倍総理が出席して行われた予算委員会の集中審議は、今国会だけで計九回、時間にして四十時間三十分にも及びましたが、いずれも真摯に、丁寧な答弁に努めてこられました。
ただし、今国会は、たび重なる政府部内での不祥事が起こるとともに、財務省理財局による公文書改ざんや防衛省の日報問題で浮き彫りになった公文書管理をめぐる問題は、国会軽視も甚だしく、まことにゆゆしき事態であり、猛省を促したい。行政に対する国民の深刻な不信を招いた責任は重大であり、政府は、二度とこのような問題が起こらぬよう、実効性ある再発防止に全力で取り組むよう強く申し上げておきます。
一方、本来、国会審議を通じて政府の改善点を明らかにしていくことが野党の役割であるはずです。それにもかかわらず、今国会において、一部野党が、ただ審議をおくらせることだけを目的としたとしか考えられないような国会対応に明け暮れたことは、まことに残念でありました。そのような野党の姿勢は、到底国民から受け入れられるはずもありません。
その最たる例は、マスコミからも十八連休と手厳しく批判された、野党による審議拒否です。五月の大型連休を挟んで十八日間にもわたって国会審議を拒否し続け、政府・与党に対し、一方的に批判のための批判に終始したことは、その後の野党の国会対応を拝見しておりますと、地元有権者及び国民への説明に苦労されたことと推察をいたします。
中でも驚いたのは、四月二十日の厚生労働委員会。政府提出の生活困窮者法改正案とともに野党提出の生活保護法案が議題となっていたにもかかわらず、提案者も含め委員会をボイコットされたことは、全く理解できませんでした。
国会での審議をボイコットする一方で、野党合同ヒアリングと称し、国会の本来の委員会の外で、マスコミを前にして、居並ぶ役人に対し質問攻めにする野党諸氏の姿は、まことに残念ながら、国民生活の向上への努力というよりも、マスコミ向けのパフォーマンスに重きを置くものと見受けられました。やはり、国会において、議事録に残る形で審議すべきであったと考えます。
また、野党が提出した委員長解任決議案や大臣の不信任決議案は、いずれも説得力を欠き、本来の決議の内容とかけ離れた提案理由を、これまた必要以上に長時間にわたって延々と議場でお話しされる姿は、審議遅延のためだけにいたずらに長々と並べ立てられただけの大義なき決議でありました。もちろん、そのいずれの提案も、全て圧倒的多数をもって否決されたことは、申し上げるまでもありません。
今回の安倍内閣に対する不信任決議案にも、これまでと同様に、説得ある理由は見当たりません。
以上、改めて、理不尽な内閣不信任決議案に対し断固反対と申し上げ、私の討論を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
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