児童虐待防止・がん対策の推進について質問 ~予算委員会にて~ – 伊藤わたる

児童虐待防止・がん対策の推進について質問 ~予算委員会にて~

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/ カテゴリー:ブログ / 作成者:伊藤わたる

こんばんは公明党@いとう渉です。昨日2/25(月)の予算委員会にて、タイトルの2点について質問。

児童虐待防止については、たなべ雄一(ゆういち)名古屋市議(千種区)から報告を受けた児童虐待に関する出来事を紹介し、夜間を含め緊急時に速やかな対応が取れる体制整備を求め、児童相談所の増設や人員増に加え、警察職員やOBのさらなる配置を提案。

がん対策の推進では、治療に伴う脱毛などのトラブル、外見の変化の悩みに対応する「アピアランス(外見)ケア」について触れ、患者の生活の質を保つことの重要性を訴え、医療としての必要性が認められる場合は保険適用を含めて一層の推進を要請。

その他、継続して取り組んでいる「傷病手当金」の改善、がんの遺伝情報(ゲノム)を活用する「がんゲノム医療」の推進に伴う患者保護の体制整備、がん患者の介護保険サービスの使い辛さが改善されたことの周知徹底など、活動の中で遭遇した具体的な課題の解決を中心に取り上げました。

中小企業の下請け取引の改善についても準備していましたが、時間切れで質問できず。次回のチャンスにしっかり質問したいと思います。

現場には常に課題があります。その一つ一つを改善しながら、より暮らしやすい日本を目指し、取り組みを進めます!

質問の様子はこちらの動画でご覧ください → https://youtu.be/Z_o5TClGb58

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。
 まず初めに、昨年の九月六日に続きまして、先週、二月二十一日にも北海道で大きな地震が発生をいたしました。心からお見舞いを申し上げますとともに、被害を受けられた方がおみえになります、しっかり党としても対応してまいりたいと思います。
 きょうは、社会保障政策を中心とした集中審議でございます。
 皆様御存じのとおり、我が国は、二〇〇五年、初めて人口が減少をし、その後約五年間、横ばいでございましたけれども、二〇一〇年から人口減少が顕著になってまいりました。
 私ども公明党は、個人の意思を尊重することに十分配慮を払いながら、子供が伸び伸びと安全に育つ社会、ゆとりを持って子育ての幸せを実感できる社会、子供の幸せや子供の安心が確保される社会こそ、国民全てに優しい社会であるとの考え方に立ち、子育てを社会の中心に位置づけ、社会全体で支援をするチャイルドファースト、子供優先社会の構築を目指し、当時、坂口元厚生労働大臣のもとで、少子社会トータルプランを発表したのが二〇〇六年でございます。当時、私は初当選、一期目のときでございました。
 あれから十年余。国政では、出産育児一時金や児童手当の拡充、また、本予算に大きく反映をされております教育負担の軽減、また、奨学金制度の拡充、またあわせて、各地方議会では、妊産婦健診の無償化や子供医療の無償化など、国と地方が連携をいたしまして、このトータルプランで提案をした数々の政策を着実に実現をしてきました。
 これらの取組の結果、二〇〇四年一・二ポイント台であった合計特殊出生率は、現在一・四ポイント台まで上昇をしております。
 引き続き、内政の課題の多くの原因とも言える少子化、高齢化、そして人口減少の克服に向けて、取組を進めてまいりたいと思います。
 この中にある、子供の幸せ、あるいは子供の安心が確保される社会、この実現のためにも、まずは、今大きく取り上げられている児童虐待の防止について御質問をいたします。
 これも、この衆議院の予算委員会が行われている渦中でございました、先々週の二月十二日未明、四時、私ども公明党の地方議員に、ある知人から電話がございました。
 夜十二時ごろ、ある自治体在住の女の子からその知人に対して、こういうメールが届きます。父親に虐待されていて、このままだと殺される、母もDVを受けていますと。助けに行きたくても、父親が怖くて住所を教えられないと。知人はこういうことに詳しい方でしたので、地元の児童相談所に相談履歴があることを突きとめ、児童相談所に電話をします。職員ではない人しかいなくて、職員に連絡をとりますと言っていただいたものの、所長がつかまらず、連絡がとれた職員は、住所は教えられない、所長は今対応できないというような対応だったという状況です。職員本人も、自宅から児童相談所に向かおうとしなかった。
 結局、そんなことが四時間も続き、その間に知人が警察にお願いをして住所を特定し、母子ともに保護をしてもらった。その日の夕方には、母子ともに、無事地元の児童相談所に保護をされたということでございます。
 繰り返し議論されておりますとおり、児童福祉司の増員、児童相談所の増設、これに向けて取組をもちろんお願いをしたいと思いますし、あわせて、職員が宿直をするなど、これはもうほとんどしているんですけれども、宿直をするなど夜間の対応の充実、また、これも党として二月十九日に申入れをさせていただいておりますが、やはり現場で聞くと、こういう限界事例になる人は、親なんですけれども、もうほとんど親としての意識がないというか、非常に恐ろしい状況の中で職員は対応しなきゃいけないということが間々あるようで、ぜひとも警察職員またOBの児童相談所への常時配置など、連携を強化をし、緊急時は速やかな対応がとれるよう、さらなる体制の整備を根本厚生労働大臣にまずお願いをしたいと思います。

根本国務大臣 今委員から本当にいろいろお話がありました。この児童虐待をどう防止するか、しっかり対応していかなければいけないと思います。
 幾つか御質問がありました。
 まず、児童福祉司の増員について等の児童相談所の体制整備ですが、昨年十二月に新たなプランを策定して、現在三千名の児童福祉司について、来年度一気に千名増員し、二〇二二年度には五千名体制とするなど、児童相談所の体制を抜本的に強化することとしています。
 また、国としても、新たなプランを踏まえた児童相談所に係る地方交付税措置を行うこととしたほか、来年度予算において、自治体の採用活動を支援するための補助を行う事業を計上しました。さらに、日本社会福祉士会等の専門職団体への働きかけを行ったところであります。
 このような取組によって、着実に人員増を進め、児童福祉司一人当たりの業務量の軽減を図り、よりきめ細かな対応が可能となるよう、体制整備を進めたいと思います。
 そして、児童相談所の増設については、平成二十八年度の児童福祉法改正の附則において、政府は、施行後五年をめどに、中核市、特別区が児童相談所を設置できるよう必要な措置を講ずるとされています。平成三十一年度予算案においては、一時保護所を整備する際の補助の拡充などを計上しています。
 今、夜間対応の充実、宿直などというお話がありました。
 夜間、休日を問わず、児童相談所が対応する通告、相談に対して、随時直接応じられる体制を整備するため、相談援助技術や相談援助活動経験のある児童相談所OBなどの配置を行っています。こういう対応も、しっかりと対応していきたいと思います。
 そして、警察官や警察OBの配置、そういう御提言、御党からも御提言をいただいています。
 児童相談所では、虐待事案における保護者などからの威圧的な要求等への対応、あるいは警察における経験や知識が有効であることが多く、警察との情報共有及び連携の円滑な実施にも資するので、現職の警察職員に係る人事交流や、警察OBの職員の配置を進めています。
 このような取組を通じて、児童相談所の体制強化に努めてまいりたいと思います。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。
 警察の職員、特にOBの方、現在、非常勤で週三日程度というケースが多いと聞いておりまして、ぜひとも、お元気の方、たくさんおみえになると思いますので、予算を確保して、その拡充に取り組んでいただきたいと思います。
 もう一つ、児童虐待でお願いをしておきたいのは、今、これまでの努力でダイヤル一八九というのができておりますが、今回の事例でもそうですけれども、今やLINEとかメールで連絡をとり合うことが主流になってきておりますので、このLINEやSNSによる相談などの対応もぜひとも進めていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

根本国務大臣 「いちはやく」については、広く周知するとともに、これは、平成三十年度補正予算において、無料化に必要な費用を計上して、利便性の向上に努めています。
 そして、今、委員御指摘の、若い世代は電話よりもSNSでコミュニケーションをとることが多いものですから、平成三十一年度予算案において、子育てに悩みを抱える、子供や、子供本人からの相談について、多くの方が利用しやすいよう、議員御提案のとおり、SNS等を活用した相談窓口を開設、運用するための補助を計上しています。
 引き続いて、児童虐待に対応する相談、通報、通告窓口の利便性の向上に努めていきたいと思います。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。
 今、本当に、若い方は電話も余り使わない、こういうメールとかSNSで連絡をとる方がほとんどでございますので、ぜひともしっかり進めていただきたいと思います。
 次は、やはり、私は、よく高齢化という言葉が使われますけれども、何となくマイナスのイメージがあって、好きではありません。これまでの先輩方の努力で我が国は世界で最高の長寿国になったわけですから、この長寿社会にあって、やはり今、万人の願いの一つは健康で長生きをするということだと思います。そういう意味で、健康長寿の延伸という観点から、日本人の現在亡くなる死因の第一位であるがん対策について伺いたいと思います。
 これまで、水泳の池江璃花子選手の白血病、また、この週末にかけて、堀ちえみさんの舌がんの告白など、闘病生活に入ったことが大きな話題となっております。病と闘う多くの方々のためにも、ぜひ元気な姿で皆の前に戻ってきてほしい、こう思います。
 私の身の回りにも、がんの克服に向けて、けなげに頑張ってみえる方が大勢おみえになります。多くのがんと闘う方々へ思いをはせつつ、幾つか伺ってまいります。
 一つは、がん患者のアピアランス、外見のケアについて。
 がんの治療は、御存じのとおり、脱毛とか肌のトラブル、爪の変色といった副作用を伴いやすく、術後の傷跡に心を痛める人も多うございます。そうした外見の変化の悩みに対応するアピアランスケア、これが注目されています。がん医療の進歩によって、がんの生存率は改善をし、仕事をしながら通院治療する患者がふえており、それだけに、治療前と変化した容姿が気にかかって、社会との交流を避けたり離職を余儀なくされる人は珍しくありません。患者が本人らしく生活の質を保ちながら過ごすためのアピアランスケアの重要性が高まっております。
 また、科学的根拠のはっきりしないケア情報も多いことから、医療者向けにケアの指針を示したガイドラインを、これは二〇一六年七月に作成をしております。作成に携わった国立がん研究センターの支援センター長、この方がこう言っています。現状では、ケアに関する情報は玉石混交の状態だ、このため、正しい知識とケア技術を持った人材の育成は欠かせない、厚生労働省の研究事業として教育システムの開発を急ぎたいとおっしゃっておられました。
 第三期がん対策推進基本計画にも初めてアピアランスケアの問題が明記をされ、対応が本格化をしております。教育システムの開発を始め、アピアランスケアの体制整備、医療としての必要性が認められる場合は、保険適用も含めて、一層の推進をお願いしたい。これは、担当として取り組んでいただいております大口厚生労働副大臣に御答弁をお願いします。

大口副大臣 お答えをさせていただきます。
 がん治療に伴う脱毛、皮膚の障害、また爪などといった外見、アピアランスの変化は、がん患者の療養生活の質に影響を及ぼすことから、その対策が御指摘のとおり大変重要である、こう考えております。
 このため、第三期がん対策推進基本計画、平成三十年、昨年の三月に閣議決定されましたが、患者本位のがん医療の実現、そして、尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築等を掲げてこの基本計画があるわけですが、この計画に基づいて、さまざまな取組をしているところでございます。
 例えば、がん患者にさらなるQOL向上を目指してということで、医療従事者に対するアピアランスケアの研修を強化するため、Eラーニングの教育教材、これを開発して、教育の均てん化というのを図っていきたい。また、がん診療連携拠点病院のがん相談支援センターでの患者、御家族の方等に対しての相談体制ということでありますけれども、アピアランスケアなど、がん患者の療養生活に関する相談支援体制、これを整備をしていく。さらに、治療に伴う副作用の予防とケアを行う支持療法の開発などに取り組んでいるところでございます。
 また、このアピアランスの変化に伴う副作用等への治療のうち、有効性、安全性等が確立されたものにつきましては保険適用をしていくということでございまして、例えば抗がん剤治療等に伴う皮疹、発疹ですね、に対するステロイド軟こうやあるいは口内炎に対する粘膜保護対策等の処方、こういうことも保険適用されているところであります。
 今後とも、がん患者の療養生活の質の向上を進めてまいりたいと思います。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。
 引き続き、がん対策、これは従来から御質問しておる内容ですけれども、傷病手当金について、これは根本厚労大臣にぜひお願いしたいと思いますけれども、がん対策基本法の制定から十三年がたちまして、治療も随分進んで、今申し上げたとおり、治療後も社会で活躍できる人がふえてきております。一方で、通院をしながら治療するものですから、残念ながら、会社の状況によっては退職を余儀なくされるケースもふえていて、これが課題になっています。
 定期的に政府も調査をしていただいていまして、平成二十九年一月に実施された、がん対策に関する世論調査によると、がん治療や検査で二週間に一回程度通院しながら仕事を両立できる環境にいるかどうかを尋ねると、そうは思わない、あるいは、どちらかといえばそうは思わないというふうに答えた方の割合が過半を超えていまして、約六四・五%、平成二十九年一月です。これはその前、平成二十六年にも行っていて、実はほぼ横ばいです。つまり、治療と仕事の両立が難しい状態が残念ながら今も続いているということになります。
 治療と就労、この両立を考えるときに、再三お願いしております、ぜひ取り組んでいただきたいのが、傷病手当金制度の改正なんです。
 これは、二十九年二月の予算委員会でも私、取り上げて、厚生労働省を中心に検討を進めていただいていることは承知をしております。二十九年四月の社会保障制度審議会医療保険部会において、財政影響と課題の整理を進めていただいています。また、二十九年三月に決定された働き方改革実行計画の工程表においても、この傷病手当金の措置について、二〇二一年度中に決定するということが明記をされました。
 がんと闘う方々やその家族を支援するために、既に共済組合では行われております傷病手当金の支給期間の通算化を健康保険法でも可能とする制度改正、そして、必要であればそのための予算措置、一日も早く実現をしていただきたいと思いますが、厚労大臣の答弁をお願いします。

根本国務大臣 治療と仕事の両立支援、これは厚生労働省として省を挙げて取り組むべき重要な課題であると認識しています。また、第三期がん対策基本計画、そして働き方改革実行計画においても、治療と仕事の両立などの観点から傷病手当金の支給要件などについて検討し、必要な措置を講ずるとしております。委員からも、今までもいろいろな御指摘をいただいております。
 今お話がありましたが、傷病手当金の支給期間を通算で算出する仕組み、要は、傷病手当金というのは、病気やけがによる休業中の労働者の所得補償のため、最初の支給日から起算して最大一年半に限り支給される仕組みですが、通算で算出する仕組み、委員から御提案をいただいております。
 これについては、整理すべき課題が幾つかあります。委員からも御紹介ありましたが、具体的には、必要な財源をどのように確保するか、保険者の事務負担をどのように軽減するかなどの課題があります。
 今後、高齢化の進展に加えて、現役世代の人口の減少が見込まれることに備え、社会保障のあり方を検討していくことにしています。その中で、治療と仕事の両立支援の観点から、これは保険者を始め関係者の意見を踏まえながら検討していきたいと思っております。

伊藤(渉)委員 非常に、日本全体としての財政をやはり抑えていかなきゃいけないという大きい枠組みの中で、保険の制度を改正していくことの難しさは私もよく承知をしていることですが、その上で、がんで苦しみ、また健康になって社会で頑張っていただくためのサポートになる制度ですので、ぜひともそれを乗り越えて、実現に向けてお願いをしたいと思います。
 次は、がんのゲノム医療のことに関して質問をさせていただきます。
 これも第三期がん対策推進基本計画に入っておりますけれども、がんゲノム医療を牽引する高度な機能を有する医療機関の整備及び拠点病院等や小児がん拠点病院を活用したゲノム医療提供体制の構築を進める、これによって、ゲノム医療を必要とするがん患者が、全国どこにいても、がんのゲノム医療を受けられる体制を段階的に構築するとされております。
 このがんのゲノム医療の推進は、いまだ治療が期待しがたい難治がん、罹患者数の少ない希少がん、小児がんを始め、多くのがん患者の個別化医療を通じた新たな希望をもたらし得るもので、その医療と研究の推進が期待をされております。
 また、がんゲノム医療は、一部、二〇一九年春、この春にも保険適用になる見通しと承知をしております。あわせて、混合診療を迅速に受けられる仕組みをつくっていくことが検討されております。
 一方で、きょうの質問は、がんの原因となる遺伝子の変異、少し難しい話になりますが、一つは、親から受け継ぐ先天的な遺伝子の変異、もう一つは、生まれた後に起こる後天的な遺伝子変異、これがありまして、前者、親から受け継いだ先天的な遺伝子変異を有する遺伝性腫瘍のがん患者、あるいは遺伝子変異陽性のがん未発症者、遺伝子は持っているけれどもまだ発症していない、こういう人の割合が一定割合で存在することが知られてきております。
 このがんのゲノム医療の研究の進展に伴って、こうした患者が検査や治療の過程で見出される可能性があります。そうすると、この両者に対する社会的不利益が発生することがわかってきておりまして、既にアメリカでは、こういった遺伝子情報がわかることによって雇用分野で差別がされないように立法もされている状況になっています。
 そこで、これも大口副大臣にお伺いをしますけれども、がんやその他の疾病、難病等におけるゲノム医療や研究が適切に推進をされて、患者や、遺伝子変異陽性の未発症者、遺伝的情報は持っているけれどもまだ発症はしていない、そういう人が社会的不利益をこうむることがないように、それを手当てしないとゲノム医療のブレーキになりかねませんので、そういう観点で、雇用や保険において、遺伝情報の取扱いやその不適切な取扱いによって社会的な不利益をこうむることがないように措置を講ずること、十分な情報を得て安心して検査や治療が受けられるよう、医療現場での遺伝子関連検査や遺伝カウンセリングに関する医療者など、ゲノム医療に必要な医療者の育成を推進し、各医療機関に十分適切に配置をすること、がん教育やさまざまな啓発活動を通じて、ゲノム医療や遺伝子疾患の正しい理解を図ること、このような取組をゲノム医療の進展に合わせて着実に推進をしていただきたいと思いますけれども、大口副大臣の御答弁を求めます。

大口副大臣 お答えをさせていただきます。
 ゲノム医療の推進、これは適切にしっかり推進をしてまいりたいと思います。ただ、遺伝子異常が見つかった患者の方々などが不当な扱いを受けることがないようにすることが、御指摘のとおり大事でございます。
 そもそも、遺伝情報は、両親から引き継いだものであり、本人が決めることができないものであります。また、病気のなりやすさなどの中には、遺伝要因だけではなく、生活習慣などの環境要因に大きく左右されるものでございます。
 そこで、厚生労働省といたしましては、関係省庁と連携をとりながら、まず、遺伝子情報に基づく不利益を受けないよう、公正な採用の選考、これをしっかりやっていく。そしてまた、これは金融庁とも連携をいたしまして、適正な保険契約の推進のため、事業者に対して周知をしていく。ですから、採用選考やまた保険契約の推進について、事業者にしっかりと周知をしていくということでございます。
 また、現場の幅広いゲノム医療従事者を対象として、がんゲノム医療コーディネーター研修会を行っているところでございまして、がんゲノムの医療に関する科学的な見地に基づいて正しく相談に対応できるようにしていく研修の推進、これをしてまいるということでございまして、昨年三月に百二十人、また昨年の八月に同じく百十九人、そしてことしの二月、先週末、百二十人、また三月も百二十人と、四百八十人の研修を、更に来年度も二百四十人の研修ということで進めてまいりたい、こう考えております。
 また、国民の皆様に正しい理解を進めるための、がんゲノム医療に関する教育と正しい情報伝達、これの研究開発を、私も昨年末参りましたが、国立がん研究センターの田村先生を中心に今研究をしていただいているところでございます。
 今後とも、国民に安心してゲノム医療を受けていただけるように取り組んでまいりたいと思います。

伊藤(渉)委員 もう一問、がんについて。
 これは、介護認定の申請に当たってなんです。
 介護保険制度は、四十歳から六十四歳のがん患者も保険サービスが受けられるようになっているんですけれども、この定義が、がん末期若しくは末期がんとされていまして、これは結局、現場でソーシャルワーカーの方が患者や家族に説明するときに、末期とあるので、末期ではないからとか、あるいはお医者さんも、あなたは末期がんだというふうになかなか言えないケースがあって、これが使いづらいという話がありました。
 こうした取組も我々主張をして、がん対策基本計画に名称を変更するということが明記されて、実は、もうつい最近、二月十九日、厚生労働省から都道府県に通知が出ました。末期がんやがん末期の記載に限らず、がんと記載されたもので申請を受理してよいと、介護保険の適用です。
 これは、通知が出ただけではなかなか現場に伝わらないので、都道府県、市町村、またあらゆるチャンネルや媒体を通して周知徹底をお願いしたい。これも大口副大臣、よろしくお願いします。

大口副大臣 今、委員御指摘のとおり、二月十九日に事務連絡を発出したところでございます。
 特定疾病として介護サービスの利用を受けられるわけでありますけれども、周知徹底をしっかりしていかなきゃいけないということでございまして、厚生労働省といたしましては、ホームページに、要介護認定の概要から末期の表現を削除するとともに、末期がんの記載に限らず、単にがんと記載されたもので申請を受理して差し支えないこと、また、市町村の窓口で申請者に確認する場合であっても、末期がんの表現ではなく、介護保険サービスの利用が可能かを主治医に確認したかどうかにとどめるなど、申請者の心情に配慮した対応をお願いすることにしておりまして、しっかり、この二月十九日に各自治体に発出をして、徹底をしていきたい。
 また、この取扱いにつきましては、日本医師会等の関係団体にもお知らせをしたところでありまして、また、三月に予定されている全国課長会議の場や、各自治体の要介護認定の担当者向けの研修会の場など、さまざまな機会を捉えて周知に努めてまいりたいと思います。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。
 時間が来ましたのでこれで終わりますが、きょうは世耕経産大臣にも、こうした社会保障を安定させるためにも、下請取引の改善、つまり、この国の経済、雇用を支えている中小・小規模事業者の状況の改善のお願いもしようと思っておりました。
 この委員会で賃金のことが議論されておりますけれども、現実の上で賃金を上げるためには、中小企業の経営環境を改善させることが極めて重要であります。そうしたことをまた、そうした機会に……(発言する者あり)

野田委員長 お静かに。

伊藤(渉)委員 ぜひ、またその取組を加速できるよう我々も提案をしていきたい、そのことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

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