北斗七星
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カテゴリー:ブログ / 作成者:伊藤わたる
2022/03/17 公明新聞
ウクライナの戦火が止まない。ロシア軍は民間施設や住宅地への無差別攻撃でウクライナ政権の戦意を削ぎたいようだ。市民の犠牲は増え続けている。直ちに撤兵すべきだ。
「道具箱にハンマーしかなければ何でも釘に見える」。イラク戦争当時、米ブッシュ政権の荒っぽい手法は、そう揶揄された。それは軍事力で他国を侵略するプーチン政権にも当てはまるだろう。ただ自由・民主主義の体制は誤りを正すことができるが、独裁はそもそも間違いを認めることができない。
20世紀フランスの知性と称されるポール・ヴァレリーによれば、独裁者は「すべての価値を自分の価値に吸収し、あらゆる見解を自分の見解に還元する。他者は自分の考えの道具であり、自分の考えをみんなが最も正しく、洞察力に富んだものと信じてくれるものと考える」からだ。
ヴァレリーは、独裁者は独裁を持続するために「不安と危機を組織する」、そこでは「戦争のイメージが人心を引きつけるようになる」と看破する(『独裁について』)。
誰も戦争を求めていない。ロシア国民も“兄弟国”の血が流れることを望むまい。プーチン大統領は自由・民主の価値観、米国主導の国際秩序に我慢がならないのだろうが、自らのハンマーでロシアの未来をも破壊することにならなければいいが。
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