卵子などの保存に県が助成/がん患者の経済的負担を軽減 – 伊藤わたる衆議院議員

卵子などの保存に県が助成/がん患者の経済的負担を軽減

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2021/04/25 公明新聞中部版

国は今年度、がん治療後も子どもを持てるよう、受精卵、卵子、精子を治療前に採取・凍結保存する「妊孕性(妊娠する力)温存療法」への助成を開始した。

がん患者の経済的負担の軽減が目的。

助成を実施する都道府県にその費用を半額補助する。これを受けて、助成する県が増えている。

■国が半額補助

がんを治療する過程での手術、抗がん剤投与、放射線照射は精子や卵巣に影響するため、将来、不妊になる恐れがある。

温存療法により子どもを持つ可能性を残せるが、公的医療保険の対象外で費用は全額自己負担。女性だと最大80万円にも上り、経済的負担が重い。

女性については、がんの進行度合、年齢、配偶者の有無などで療法が異なる。若かったり、治療までの猶予がなかったりする場合、卵巣組織を凍結保存する。

配偶者がいない場合は未受精卵子、配偶者がいれば受精卵を凍結保存する。

男性は精子の凍結保存を行う。射精ができないなどの場合は、精巣内から精子を採取して凍結保存する。

患者への助成額は卵巣組織40万円、未受精卵子20万円、受精卵35万円、精子2万5000円、精子採取35万円(いずれも上限額)。

対象は男女とも43歳未満。所得制限は設けず、助成は1人2回まで。

公明党は2018年7月に卵子や精子の保存支援を政府に提言していた。

岐阜、静岡、三重の3県や一部の市は昨年度までに温存療法への助成をスタート。

今年度から愛知、長野、富山、石川の4県が始めた。新潟県も実施を検討している。

三重県は、治療費の半額(女性25万円まで、男性3万円まで)を1人1回助成していたが、今年度から制度を拡充し、国の助成額に未受精卵子凍結保存は5万円、精子凍結保存は5000円の上乗せをする予定。

愛知県は先ごろ、温存療法について説明したパンフレットを作成・配布した。

パンフレットには、患者が温存療法を受けるまでの流れを①がん治療担当医と相談②療法実施機関の検討――など5段階に分け、具体的に記載している。

がん治療を行う病院、温存療法をしている病院などに置いた。

昨年11月には、名古屋大学医学部付属病院(名古屋市)が中心となって愛知県などと共に、県内のがん治療の医師と生殖医療の医師が連携するネットワークを整備した。

■梶山氏「完治後の希望を生む」
■後藤氏「若年世代への周知必要」

公明党の加藤貴志愛知県議は昨年9月定例会で、温存療法への助成、がん治療医と生殖治療医の情報共有ができる体制の構築を求めていた。

加藤県議はこのほど名古屋市内で、温存療法を行う名古屋大学医学部付属病院の梶山広明産科婦人科診療科長、後藤真紀医師と会い、県の取り組みについて意見交換した。

梶山氏は「パンフレットは患者に情報が伝わりやすい」と評価。温存療法については「患者が『がん完治後に子どもが持てる』という希望を抱きやすくなり、前向きに治療に取り組むようになる」と述べた。

後藤氏は「20代でがんを患った女性の多くは親に金銭面で頼ることに抵抗があり、温存療法を断る人が多い。こういう人に助成金の意義は大きい」と話した。

一方で「若い世代への情報提供が不十分。がん治療後に温存療法のことを聞いて『そんなこと知らなかった』とならないよう周知してほしい」と求めた。

これに対し加藤県議は「若年世代に温存療法や助成事業を広く知ってもらうため、SNSの活用などを県に求めていきたい」と述べた。

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