効果上げる燃油高対策
補助増額、対象拡大、期間延長で
ガソリン価格など抑制
政府の「総合緊急対策」に盛り込まれた燃油高対策が、ガソリンの店頭価格抑制などの効果を上げている。対策の内容を解説するとともに、公明党「原油価格高騰・トリガー条項についての検討プロジェクトチーム(PT)」座長の伊藤渉衆院議員に、対策強化をリードした党の取り組みについて聞いた。
コロナ禍から世界経済が回復に向かう中、昨年から原油価格が高騰、これにロシアのウクライナ侵略と円安が追い打ちをかけている。
原油価格でアジア市場の指標となる中東産ドバイ原油の取引価格は上昇傾向。取引の中心となる7月渡しも1バレル100ドルを超えるなど、高い水準にある。日本では円安が強まっていることもあり、円建てドバイ原油先物価格がさらに上昇している。
こうした原油高は世界経済に深刻な影響を与え、日本でもガソリン価格などの上昇による生活者や事業者への打撃が懸念されるようになった。
このため政府は3月、石油元売り各社に支給する補助の上限を、1リットル当たり5円から5倍の25円に増額した。この補助金は、精製業者や輸入業者など石油元売り各社が、国に申請して受給するもので、元売りは卸売価格を抑えて小売業者に販売し、店頭価格の抑制につなげる。
しかし、原油価格の高騰が続いたため一層の対策強化が必要となり、政府は4月に決定した総合緊急対策に補助制度の拡充を盛り込んだ。
具体的には、ガソリンの小売価格の目標(基準価格)を、これまでの1リットル当たり172円から168円へと“値下げ”を実施した。その上で、基準価格を上回る場合に支給する1リットル当たりの補助額を、最大25円から35円に増額。さらに35円を超える分については半額を支給する仕組みを導入した。また、対象となる燃油としてガソリンや軽油、重油、灯油に加え、航空機燃料を追加。対策の実施期間を9月末まで延長した。
このほか、LP(液化石油)ガスを利用するタクシー事業者には、燃料上昇分に相当する額を支給する事業を進める。
拡充された補助金の財源は、今年度予算の予備費に加え、公明党の主張を受け今国会での成立をめざす補正予算が充てられる。5月分は予備費、6~9月分は補正予算で計上される見込みの1兆円余りを活用する。
この対策によって補助の増額が進み、原油価格の上昇分から換算した16日時点のガソリンの店頭価格は1リットル当たり202.7円になるところを、実際には170.4円に抑えられている。
全日本トラック協会「本当に助かっている」
約5万社の運送会社が加盟する公益社団法人全日本トラック協会は、「燃料費だけで、毎月の収益から平常時より数百万円多く削られている会社もある。補助の大幅拡充が実現し、本当に助かっている」と語っている。
公明の提言が政府の施策に
公明党原油価格高騰・トリガー条項検討プロジェクトチーム座長 伊藤渉 衆院議員
公明党は、ガソリンなど燃油価格の高騰に対する支援策を強力に推進してきた。
3月17日には、党内に国民生活総点検・緊急対策本部(本部長=石井啓一幹事長)を設置し、各地で総点検運動を展開、議員ネットワークの力で4300件を超す意見・要望を聴取。4月14日には、それらを集約した緊急提言を岸田文雄首相に申し入れた。
この提言では、燃油価格の激変緩和事業について、元売りに対する補助金の大幅引き上げや対象の拡大、支給期間の延長を要請。政府の総合緊急対策に反映された。
今後も、生活者、事業者に寄り添い、燃油高から暮らしや経済を守る施策の拡充に党を挙げて取り組んでいく。
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