しあわせをさがすたび – 伊藤わたる

しあわせをさがすたび

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「種」を意味する“シード”ちゃんという主人公が幸せを探す旅に出た。途中で出会う人や動物にアドバイスを受けながら、旅は続く――本紙連載「創価家族の種まき絵本」で紹介された物語「しあわせをさがすたび」である

“幸せとは一生懸命、誰かのために働くこと”などと教わり、“シードちゃんだけが咲かせられる、きれいな花を咲かせてね”と励まされる中、主人公は気付く。“幸せとは、つまり、独りぼっちじゃないってことね”と

原発事故で他県に避難した福島の、ある多宝会の壮年部員は5年前、夫婦で故郷に戻った。だが、復興を目指して苦楽を共にした妻が本年、霊山へ。悲嘆に暮れる壮年の姿に、友も心を痛めた

ある日、地域のリーダーが壮年を訪ね、言った。「最寄りの会館に“復興の象徴”である『ど根性ひまわり』と『奇跡のコスモス』の種をまきます。あなたに、その花々の成長を見守る責任者をお願いしたいのです」。種をまく当日、壮年は同志の前に元気な姿を見せた

『古今和歌集』に紀貫之は記した。「和歌は、人の心を種として、万の言の葉とぞなれりける」と。妻との思い出を心に、同志と共に使命に生きる彼は決して独りではない。今再び、幸福の旅路を力強く歩み始めた。(城)

22.5.18聖教新聞「名字の言」

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