小型旅客船 安全運航を
事業者の管理体制強化
法令違反に最大1億円の罰金
夏の観光シーズン前に改正法施行
夏の観光シーズンが本格化するのを前に、旅客船の安全点検が各地で行われている。先の通常国会では、北海道知床沖で昨年4月に起きた小型旅客船の沈没事故を教訓に、事業者の安全管理体制の強化や法令違反時に最大1億円の罰金を科すことなどを柱とする改正海上運送法が4月に成立し、6月11日に一部施行された。観光客の増加が見込まれる中、小型旅客船の安全な運航確保に向けた体制が強化される。
知床事故、教訓に
改正法は、国土交通省の有識者検討会が昨年12月にまとめた全66項目にわたる旅客船の安全対策を踏まえたもの。具体的には、小型旅客船の事業許可について、原則5年ごとの更新制を導入。事業者の経営層に当たる「安全統括管理者」や、船舶運航の責任者である「運航管理者」の資格要件を2025年度から見直すなど、事業者の運航管理体制を定期的にチェックする。
船長など船員に対しては、海域の特性などに関する初任教育訓練を義務付け。船長になるために必要な操縦免許を取得する際の講習内容を24年度から拡充し、乗船履歴に応じて船舶の航行区域を限定する仕組みも導入するなど、船員の資質の向上を図る。このほか、法令違反した法人や個人への罰則を強化する。
国交省がまとめた安全対策では、改正法で盛り込まれた項目以外にも、▽出航前のハッチカバーの確認徹底▽通信設備として携帯電話を除外し、業務用無線を導入▽寒冷地で運航する際、移乗時の落水を防ぐ機能を備えた改良型救命いかだの搭載義務付け――などを明記。同省では、業務用無線などの設置費用の一部を補助する制度を22年度第2次補正予算に計上し、導入を促している。
公明、現場の声踏まえ推進
公明党は、再発防止に向けた小型旅客船の安全対策の実施を推進してきた。昨年4月23日に発生した知床沖での旅客船事故の翌日、斉藤鉄夫国交相(公明党)が現地へ急行。事故の状況を確認するとともに、全国の旅客船事業者に対し安全確保の再徹底を指示した。党国交部会(部会長=伊藤渉衆院議員)も同27日、政府に対し、船員の資質向上など再発防止策を要請していた。
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