改正バリアフリー法案の参考人質疑 – 伊藤わたる衆議院議員

改正バリアフリー法案の参考人質疑

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/ カテゴリー:ブログ / 作成者:伊藤わたる

本日3/31(火)は国交委員会にてバリアフリー法案の審議の一貫として、参考人の皆様と議論させて頂きました。

私のメインテーマは“心のバリアフリー”をどう推進していくのか。今回の法案で初めて盛り込まれる内容です。

詳細は動画にて→ https://youtu.be/rq4pu0FiD4E

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。
 まず初めに、今般の新型コロナウイルス関連肺炎でお亡くなりになりました志村けんさんを始め、全ての皆様の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、この感染拡大防止に全力で当たってくださっている全ての関係者の皆様に心から敬意を表したいと思います。
 本日は、バリアフリー関連法案についての参考人質疑に対しまして、大変お忙しい中、秋山先生、そして尾上代表理事、山城代表理事、お運びをいただきまして、大変にありがとうございます。
 早速ですけれども、以後、座って御質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、今回の法案で最も重要なことの一つが、心のバリアフリーということをどう推進していくかということだと思っています。これにつきましては、短い時間ではありますけれども、三人の参考人の皆様にそれぞれ意見をお伺いをしたいと思います。
 私は、これはバリアフリーの世界ではありませんけれども、農福連携、農水省が農業の現場で障害者の方を雇用するという取組をする中で、こういう現場のお話をお伺いする機会がありました。
 まず、障害を持った方を雇用する前の現場では、もっと効率的に作業がどうやったらできるのか、ある意味ぴりぴりとした緊張感があったと。そうした現場で障害をお持ちの方を受け入れることによって、現場のいわゆる健常者の方が感じたことなんですけれども、障害を持った方、彼らはとにかく元気に挨拶をしてくれるし、ハンディを抱えながら一生懸命働く、僕たちも小さなことで落ち込んでいる場合じゃないなと前向きになったと。そういう心の影響を受けることによって、結果として仕事の効率が上がった。こういうお話をお伺いをしました。
 事ほどさように、現代社会にあって、とかく生産性という言葉が使われますけれども、それだけでははかり切れない、そうしたところに視野を広げていくという意味で、心のバリアフリーへの取組というのは極めて重要だと考えております。また、それが進むことによって、ハード面のバリアフリーもさまざまな知恵が出てきて進んでいくのではないか、こう期待をしている一人であります。
 そう考えたときに、この農福連携の現場で感じたことも踏まえますと、一つは、やはり体験をするということ。これは、健常者の方であれば、障害を持つということ、その中で暮らすということはどういうことなのかを体験をするということ。そしてもう一つは、双方向。つまり、健常者の方が障害を持った方にできること、一方で、障害を持った方から健常者の方が学ぶこと、この双方向がとても大事だと。そして、何といっても身近に感じるということがとても重要だと思っております。
 私も、身内の一人に視覚障害を持つ者がおりますけれども、その方とお話をすることによって学ぶことがたくさんございます。この体験、双方向、そして身近に感じる、こういったことを取り入れながら心のバリアフリーを私は進めていくべきではないかと考えながらきょうこの場に来させていただきましたけれども、三人の先生方にそれぞれ御見解をお聞かせいただければと思います。

秋山参考人 秋山と申します。
 心のバリアフリーは私は仕組みづくりが大切だと言うのは、単に、何というんですか、普通の形でその人たちが接するだけでは形にならないと思うんですね。そのときの自分の感情で浮き沈みがありますので、やはりちゃんとした仕組みをつくって進めるということが一点です。
 その上で、例えば、心のバリアフリーを実践するときに障害になる可能性がこれからあるだろうというのが情報関係、特にICTに絡む、スマホなども含む、その操作性が非常に難しい人とそうでない人の差がついてくる、こういうものをどうやって埋めていくかということをちゃんと考えないといけないなと。
 そこのところが心のバリアフリーの極めて重要なところで、先ほど尾上さんがおっしゃったように、他の者との平等を障害者の人たちが感じ取れる社会をつくるためには、そのあたりのマイナスをいかになくすかという、あるいは取り残される人をできるだけ少なくしていくという努力が、やはり一方で必要なんだろうなと。
 そういう観点で心のバリアフリーを進めることがとても大事だなというふうに思っております。
 以上です。

尾上参考人 心のバリアフリーに関してですが、冒頭に申し上げましたとおり、心のバリアフリーというのは社会モデルの理解が広まっていく、そういったことだと思うんですね。
 だとすれば、今後、さまざまな研修や、あるいは、きょうは国交の場ではありますけれども、例えば学校教育においても社会モデルということを学ぶ機会ということをぜひふやしていっていただければなというふうに思いますのが一つ。
 そして二つ目が、さまざまな、いろいろな場で当事者と一緒につくっていく、当事者参画を更により一層推進をしていくということが大事かなと思います。
 特に、基本構想の中で当事者の意見を聞くというふうには言われましたが、どうしても、課題出しのところまでは当事者の意見を聞いていただくんですが、具体的な事業計画とかそこの段階になると当事者の意見は余り聞かれていなくて、でき上がったのを見て、えっ、何でこんなふうになっているのみたいなことが、残念ながら今でもあるんですね。
 全てのプロセスにおける当事者参画の推進ということが、やはり心のバリアフリーの上ではとても大切なことではないかと思います。

山城参考人 私、いつも感じていることがあるんですね。バリアフリー法が改正されたりしている中で、やはり、例えばJRなんかでは、駅遠隔操作システムといって、駅員さんがいない駅がふえているんですよね。バリアフリーといいながら、だんだん私たち視覚障害者にとっては心配も一方でふえてきているというのが現状なんです。
 私は、一つは全体的に障害を知っていただくという問題と、それから、その職場、障害者と接するところの職員がきちっと対応できる、機械の操作も含めて、何というんですかね、職場の主人公になっていただいて、私たちのアクセスを進めていただく担当者が今必要なんだなと。
 バリアフリー法がこれからもっと発展していくためには、人による対応、人によるバリアフリーというのを進める。それはやはり国を挙げて、予算もかけて進めていただく。そういうことが、これからの私たちの安全、安心な社会参加につながっていくのではないかなというふうに思っています。
 以上です。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。
 この心のバリアフリーというものを進めながら、世の中全体のいわばユニバーサルデザインを進めていく。そのときに、今、例えば駅の話を具体的に山城代表理事におっしゃっていただきましたが、私が思い描く理想の姿は、仮に、これから人口減少の社会ですから、例えば、駅にどうしても駅員の方を置けない駅も出てくる、これは避けられないような気がします。一方で、そこを利用される普通の方が障害をお持ちで困っている方を見ればその方が自然にサポートできる、こういう世の中をつくることこそが心のバリアフリーの本来の進め方というか姿か、そんな思いを抱く私は一人であります。
 そういう意味で、次は秋山先生と尾上代表理事にお伺いしたいんですが、いわゆるユニバーサルデザインとかバリアフリーを進める上での人材育成という観点であります。
 何事にも、先ほど来出てきておりますとおり、当事者と一緒につくっていく、これはもちろん極めて重要なことでありますし、それが当たり前になってこないといけない。一方で、必要なときだけ当事者の方とかかわっているだけでは、本当にこのバリアフリーというものがそれぞれの、例えばお仕事としてサービスをやっている方の、何といいますか、骨肉にならないというか、体質、もうバリアフリーを進めるということそのものが当たり前の世の中にするというのが多分心のバリアフリーだと思いますので、そういう意味では、先日、羽田空港を見せていただいて、これは秋山先生が大変深くかかわられたと聞きました。まさにそこには、バリアフリーそのものを体質化された職員の方がお見えになるなという印象を私は持ちました。
 こうしたバリアフリー、ユニバーサルデザインを進めていく上での人材育成、その人材とは、バリアフリーというものを本当に自分の体質として持った、そんな人を育てていくための人材育成ということについて、秋山先生と尾上代表理事にお伺いしたいと思います。

秋山参考人 秋山です。
 非常に難しい課題かもしれませんが、私の経験値からお話をさせていただきます。
 人材育成は、教室で講義をしてそれで育成できるとは全く思っておりません。現場の中で、直接現地に障害当事者の方々と一緒に歩いていく中で発見することが往々にして多いですね。羽田空港の国際ターミナルは、そうやって障害者と一緒に議論しながらつくってきました。
 そして今回、足らないところが情報ということで、視覚障害者の人と聴覚障害者の人を二人ずつお願いして、一つのルートを三回通りました。一回目は単に通行して、ここですねという確認です。二回目に通るとだんだん問題が見えてきます。それで自由に問題を言い合って。三回目に通ったときには、対策まで議論が行き始めていくというところで。
 やはり教育というのは、そうやって繰り返してやって、自分たちが確認していって、そのときに、視覚障害の方々も、専門家もそうですし、それから空港の職員もわかったと思うんですね。
 そういうプロセスが僕は教育だと思っていまして、バリアフリー教育は一朝一夕ではできないと思いますので、かなり丁寧にやって人を育てないといけない。社会モデルというのは、まさにそのことをきちっと理解していただくために、一緒に歩いて、これは大事なんだということをその場で具体的に理解をしていただくというのが今回の人材育成ではとても重要だというふうに思っております。
 あらゆるところはそういう当事者が参加しながらやっていくことが一番いいと思いますので、そういう機会の中で、専門家も入って一緒にやるというのがとても大事だと思います。
 以上でございます。

尾上参考人 ありがとうございます。
 御指摘のとおり、仕事でというか、必要なときだけかかわっているだけでは骨肉にならないというのはおっしゃるとおりだと思うんですね。
 例えば、私は車椅子を使っていますが、友達と一緒に同じ店に行こうと思ったときに、同じ友達なのになぜ一緒に入れないんだ、そのときの悔しさって、やはりあると思うんですね。そういう感覚を持っている人がどれだけふえるかということだと思います。
 それが、先ほどから申し上げていますとおり、子供のときからともに学びともに生きるという共生体験ということを、やはり市民ベースで広げていくことがまず大事だということが一点です。
 それとあと、おっしゃられるユニバーサルデザインの担い手の養成ということで、兵庫県の明石市のマスタープランでは、担い手の養成ということで当事者リーダーの養成ということ、並びにユニバーサルデザイン、バリアフリー整備の専門家の養成といったことを明石市の今後の行政計画として掲げておられます。
 ぜひ、こういった事例なんかも参考にというか、明石市においてもこれから試行錯誤しながら実践的に進めていくわけなんですけれども、当事者リーダーの養成並びにユニバーサルデザインやバリアフリーの専門家の養成というのは、国、自治体、さまざまなところで力を合わせてやっていくことではないかなと思います。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。
 時間になりましたので終わりますが、今、大変貴重な御意見をいただいて、私がもう一つ問題意識として思っているのは、先ほど秋山先生も尾上代表理事もおっしゃったとおり、やはり何事も現場に行かなければわからないことがたくさんございます。
 しかし、とかく現代社会は、いろいろ、ある意味、ICT等が発達をして、しかも一人に課せられているさまざまな業務量が、まあ感覚的ですけれども、かつてよりもふえている気がして、現場に足を運ぶ機会がつくりづらくなっているというのが、私は今の世の一つ大きな課題ではないかと思っております。
 まだ私の中で、それをどう解決していけばいいか、その解決策を発見し切れておりませんけれども、きょうの御意見をしっかり参考にさせていただいて、自分自身の思索も深めていきたいと思います。
 本日は、大変にありがとうございました。

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