洋上風力発電関連法案について質問
公明党@いとう渉です。本日11/21午前、
伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。
早速質問に入らせていただきたいと思います。
今回の法案は洋上風力発電を促進をしていくと。自前のエネルギー源を持つということは、広い意味で防災、減災また国土強靱化につながっていく大変重要な法案だと思います。
昨日の閣議におきまして、第二次補正予算の指示が総理からございまして、防災、減災、国土強靱化、三カ年にわたるスタートとなる補正予算の編成の指示があったところでもございます。
まず初めに、国土強靱化という観点から石井大臣にお聞きをしたいと思います。
本年の六月に、土木学会におきまして、国難をもたらす巨大災害についての技術検討報告書という報告書が発表をされております。今、資料を配付をさせていただいております。
この中で、きょうは時間も限られておりますので簡単に申し上げますけれども、いわば先行投資を行うことによって、災害発生時の経済被害、人的被害はもちろんですけれども、経済被害を縮小をして、結果的に、災害発生時から、例えば、地震災害であれば二十年間、水害であれば十四カ月で税収の縮小を回避をすることができて、その額が先行投資の事業費を上回る、つまり投資効果が十分にあるという報告書が、土木学会から提出をされております。
今配付をさせていただいております資料、一番上の表一が被害の推計でございます。地震、高潮、洪水ということで、それぞれ、経済被害、資産被害、財政的被害ということで計上されております。
また、真ん中のところが、これに対する対策の内容が右側にございまして、その合計事業費も書かれておりますし、それに対する減災率、減災額というのも明示をされております。
そして、一番下が、いわば先行投資による投資効果ということになりますけれども、左側に合計事業費がございまして、この事業費を投ずることで、地震であれば二十年間、水害であれば十四カ月で、その投資を上回る税収減の抑制効果を確保できるというものでございます。
もちろん、この報告書自体がまだまだ粗削りなところもあることは学会そのものが認めておりますけれども、昨今の我が国の災害による被害、そして人的被害を見るにつけ、そこに対して、財政の制約はありますけれども、抜本的な、財源論も含めて本格的な検討が必要だ、命を守るための先行投資ということをよくよく考えていかなければならないと、災害を見るにつけて痛感をしておりますけれども、この土木学会の報告書も受けまして、石井大臣のこの点に関する御所見をお伺いしたいと思います。
石井国務大臣 土木学会が独自で検討委員会を立ち上げ、国難をもたらす巨大災害対策についての技術検討報告書を公表したことは承知をしております。
報告書の中では、首都直下地震、南海トラフ巨大地震、三大都市圏の巨大洪水等の災害が発生した場合、長期的な経済被害等が発生をいたしますが、事前の対策を実施することにより、これらを軽減できることが述べられております。
実際に、平成三十年七月豪雨を始めといたしまして、近年の豪雨、台風災害では、インフラが整備され、かつ維持管理されてきた箇所での被害は小さく、インフラが未整備又は整備途上の箇所では被害が大きかった事例が多数確認をされております。
例えば、平成三十年台風第二十一号で、大阪湾では観測史上最高の潮位を観測したものの、堤防、水門等の整備によりまして、大阪市街地の高潮浸水は防止をされ、未整備の場合と比べると、その被害防止効果は十七兆円程度に相当するものと推定されております。
こうしたことからも、大規模な被害を受けた地域については、再度災害防止のための事業を着実に推進してまいりますが、事前の防災対策が非常に重要であると認識をしておりまして、事前に行うべき防災対策が後手に回ることがないよう、防災、減災、国土強靱化のための事前防災対策に必要な予算の確保に努め、強靱な国土づくりを進めてまいりたいと考えております。
伊藤(渉)委員 ありがとうございました。
財源論も含めてこうした議論をすることは、もちろん簡単なことではないことはよく承知をしておりますけれども、可能性として、先行投資をした方がトータルコストとして下がるという学会の報告書は、大変重要なポイントを指摘していると思っております。さまざまな制約がある中ですけれども、この点は継続して私自身も深掘りをしていきたいと考えておりますので、引き続きの御指導をよろしくお願いをしたいと思います。
続きまして、いわゆる再生可能エネルギーというものについて、太陽光パネルしかり、さまざまな取組が進んでおりますけれども、何といっても一番の問題は、安定して発電ができないので、いわゆるベースロードになりづらいというところがあろうかと思います。
一方で、いつも思うことですけれども、発電した電力をためておくことができれば、これを安定供給に変えられるわけですから、いわゆる系統用の蓄電池の技術開発というのは、資源の少ない我が国にとっては大変重要だと考えているわけでございます。
この再生可能エネルギーの普及の大きな鍵となる系統用蓄電池の技術開発、現在の状況と方針について経産省にお伺いしたいと思います。
松山政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、再生可能エネルギー、特に太陽光や風力などの、出力が天候や日照条件等々で不安定になる再生エネルギーを導入していくためには、需給を一定化、安定化しなければいけませんので、これを吸収するものとして、蓄電池というものは、いわゆる調整力として系統安定化に資する大変重要、有効な対策のものだと考えてございます。
他方で、現在の課題というものは、同じような調整力としての機能を持ちます揚水発電でございますとか火力発電に比べますと、コストが非常に高いというところが大きな難点であると思います。
また同時に、電力の系統用にこれを用いた場合には、短周期といいまして、瞬時に対応する場合、若しくは、長周期といいまして、ある程度ためておきまして対応する場合、それぞれの性格に応じて、実際に系統の安定化がうまくいくかどうか、このレスポンス性について検証することが必要だと考えておりまして、このコストの面及び実証の面で、技術開発及び実証事業を進めているところでございます。
具体的には、価格の低減を目指すために、二〇二〇年度までに揚水発電と同等の設置コスト、これは現在でいいますとキロワットアワーで二・三万円なわけでございます。現在、鉛でいっても三万円以上するわけでございますし、リチウム及びNAS電池等々でいうと、もっともっと、十万円以上するようなところがございます。これを、いかに技術開発を進めていけるかということを、実際の技術開発の導入を行うことによって取り組んでいるところでございます。
また、実証について申し上げますと、系統安定化のために、実際に、電力会社の変電所に大型の系統電池を設置した実証実験を全国各地で行っているところでございます。
先般、北海道の胆振東部地震が起こったところでございますが、その際には、実証事業として設置しました十五メガワットの蓄電池が、調整力として活用することができました。結果的に、系統から離れて解列しておりました風力発電が、百五メガワット、四基分、系統に接続することがその後可能になったわけでございまして、今現在、途上でございますが、系統用の電池の実装化に向けて、引き続き技術開発及び実証実験を進めていきたい、このように考えてございます。
伊藤(渉)委員 ありがとうございました。
ちょっともう一点だけ確認しておきたいんですが、さまざまな実証実験を続けて、今回の北海道でもそれが効果があったということでございましたけれども、この系統用蓄電池の技術開発という意味では、我が国は世界の中でも先頭を切って進んでいる。また、今回、国土強靱化に資するということで補正予算の指示がございましたけれども、こうした技術開発、更に予算を確保して世界のトップを進んでいく、そういう方向でやっているということでよろしいでしょうか。
松山政府参考人 お答え申し上げます。
御質問ございました、日本の系統用の蓄電池の国際的な競争力でございますけれども、現在、日本及びアメリカ、あと欧州、ドイツ等でも、この大型の系統電池についての技術開発は進んでございます。比較することは一概には難しいところでございますが、世界の最先端の取組を進めているというふうに認識してございます。
まだ、世界的に見ましても、系統用の電池というのが実装されていくのはなかなか難しい状況にございます。それは、先ほど申し上げましたコストの面が非常に大きい。どれぐらいの時間で、どれぐらいの容量がためられてといいますと、ほかにある調整力、すなわち水力ですとか火力の方が、今現状においては、償却も済んでおりますし、いいというところでございますので、まだまだ乗り越えなきゃいけないハードルは高いところでございます。
御質問ございました補正予算、これはこれから検討となってまいりますけれども、我々は、系統の安定化、再エネ導入に必要な施策について検討して、推進してまいりたい、このように考えてございます。
伊藤(渉)委員 ありがとうございました。
私もしっかり応援をしていきたいと思いますので、頑張っていただきたいと思います。
次に、内閣府にお伺いをいたしますけれども、欧州においては、この洋上風力発電、大変大規模に展開をされておりますけれども、我が国においてはまだまだ実証実験のレベルと聞いております。今回の法案で言うところの一般海域において洋上風力を推進をするに当たっての課題について、お伺いをしておきたいと思います。
重田政府参考人 我が国の一般海域における洋上風力を推進するに当たっての課題は二点と考えております。
一点目は、長期の占用を実現するための統一的なルールが存在しないということであります。洋上風力発電の導入に当たりましては、長期にわたる海域の占用が必要となりますが、このルールが存在しないため、プロジェクト形成に支障が生じる懸念がございます。
二点目は、洋上風力発電設備の整備と、海運業や漁業などの多様な既存の利用との調整に係る枠組みが存在しないということと考えております。これにより、先行利用者の意見を発電事業者に適切に伝え、先行利用の実態把握や先行利用者を特定することが困難となっております。
こうした課題に対応するため、本法案により、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に関し、関係者との調整の枠組みを定めつつ、長期占用を可能とすることとしたいと考えております。
伊藤(渉)委員 ありがとうございます。
これで最後の質問にいたしますが、先ほど秋本先生もお聞きになっておられましたけれども、これがどんどん進んでいきますと、やはり、系統の容量の不足を並行して改善をしていく必要があります。そこについては先ほど答弁をされておりましたので、その答弁を聞いておりまして、一つ、もう一度確認をしたいなと思ったのは、この系統増強は誰が主体的に進めていこうと我が国は考えているのかというところが、少しはっきり聞き取れなかったので、誰が主体的に系統の増強を進めていこうという方針で取り組んでいるのかということについて、お答えをいただきたいと思います。
もう一つは、この洋上風力発電については、再生可能エネルギーの普及に資するのみではなく、大規模な民間投資が促進をされます。国内に、洋上風力発電の推進に当たって産業を育成するべき、この点についても、その方針、考え方、お答えいただきたいと思います。
松山政府参考人 お答え申し上げます。
電力の系統でございますけれども、これは、仕組みから申し上げますと、発電する発電所と消費地の間をつなぐ送電線でございます。これは、実際のところは、電気料金として国民、利用者の方々から御負担いただきながら設置することになるものですから、より効率的に最適利用するような形のルート及び容量を準備する必要が出てまいります。
従来の串形の系統及び大規模な集中電源から提供されている系統につきましては、従来の電源については対応がうまくいったわけですが、分散型の電源、すなわち再生可能エネルギーのようなものが出てくる際には今までの系統ではなかなか受け入れ切れない、ゆえに、これを増強していくという必要が出てまいります。
誰がそれを主導していくかということについて申し上げますと、発電する側からしますと、これは自分らの発電を行うためのものでありますが、同時に、利用する方々若しくはそれを供給するための送配電事業者の方々からしましても、それをつなぎ、流していく必要があるからつくるものでもございます。
ですから、今後、誰のためにということに応じまして、費用の負担を適切に分担していく必要が出てくるところでございます。発電の全体的な形の変わり方及び日本全体の形ということを考えながら、基本的には各電力会社さん、一般送配電事業者の方々が系統の計画をつくっていくわけですが、広域的運営推進機関、OCCTOが全体を見渡しながら、国全体として最適な系統の形というのを模索していくということになるというふうに考えてございます。
もう一点御質問ございました産業の育成との観点でございますけれども、御指摘のとおり、日本企業が有するすぐれた技術を活用してエネルギー産業の成長を促進していくということは大変重要なところでございます。
今現在、風車に関して申し上げますと、欧州、アメリカ等のメーカーが非常に強い力を持ってございます。
他方で、日本のメーカーには、日本固有の気象条件への対応について豊富な経験を有するところでございますし、幅広い裾野産業を持つ風力発電について、地元企業を含めた関連産業への波及効果を期待するならば、これに対する推進というのも非常に重要なことだというふうに考えてございます。
民間投資を促進し、あわせて技術開発の支援等を行うことによりまして、国内風車メーカーを始めとする洋上風力発電関連産業の着実な成長を促していきたい、こういうふうに考えてございます。
伊藤(渉)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。